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夜廻58.少しの望み ページ30

『私は、貴方の友達


でも、この世界で、貴方の隣に居ることは
出来ない



‥‥‥ごめんね』





そう言いながら、胸が引き裂かれそうな痛みに襲われる






置いていかれる人間の苦しみは底が知れない




痛いほど、分かっていた




それを今、私はエリスにしている




私と友達になりたいと言ってくれた



毎日私の所に遊びに来てくれた



私に贈り物をしてくれた



すがり付くような瞳で私を見ていた





そんな彼女の手を振り払ったのは、紛れもなく私自信だ






目の前で彼女が「大事にしてね」と言った
贈り物を踏みにじった






あぁ、痛い




痛い。痛い。






‥‥‥‥‥‥苦しい






私にはそんな事を思う資格も無いのに





まさか私が手を振り払う方になるとは思いも
しなかった





こんな痛み、知りたく無かった





お願いだからそんなに、傷付いた瞳で見ないで




それも、私のわがままだと知っているけど








「君は、どちらの人間なのかも、
良く分からないね」




静かに森鴎外さんが呟いた




『私にも分からないと言ってるじゃないですか

それに‥‥私は一度死んだ人間です』




痛みと怒りを必死に押し殺して紡いだ言葉に、
彼は怪訝な顔をする





そりゃそうだよね





普通意味も分からないような言葉でしょう





『もうどうでもいいと思った

全て終わらせてしまいたいと思った




‥‥でも、居場所が出来て、少し欲が出来て
しまった』










『死んでしまうなら、綺麗な青空の下で
死んでしまいたいと思ったの』






淀んだ空じゃなくて






大嫌いな夜じゃなくて





幼馴染が愛した、あの青い空の下で







『だから私は、ここには居られない




貴方にだって、従わない』






私は左手を前に伸ばすと、ぼそりと、小さく
ある言葉を投げた









____ピリリリリリ









不意に、どこからか聞こえるコール音






森鴎外は、静かにメスを構える





エリスはキョロキョロと辺りを見回した







ピリリリリリ、ピリリリリリ、ピリリリリリ








コール音は鳴り続ける









私は、そっと右足を後ろにひいた









____チャンスは逃してはならない









ピリリリリリ、ピリリリリリ









五回。六回。









ピリリリリリ









_____七回目









【キャハハハハ】






どこからか笑い声が聞こえた

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りんず(プロフ) - ユイさん» ユイ様、コメントありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです! (2018年4月8日 10時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - おもしろかったです (2018年4月8日 1時) (レス) id: e31a251f71 (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 「名もなき贖罪の銃士の少女」さん» ありがとうございます!(^-^) (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
「名もなき贖罪の銃士の少女」(プロフ) - 良かったです!これからも頑張って下さい! (2018年4月4日 20時) (レス) id: bb589a0fac (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 「名もなき贖罪の銃士の少女」さん» 「名も無き贖罪の銃士の少女」様、イメ画ありがとうございます!とっても嬉しいメッセージまで添えて頂いて、にやけそうになりましたが、自分で足を踏んづけてこらえました((近々載させて頂きます!本当にありがとうございました! (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんず | 作成日時:2018年3月16日 19時

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