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夜廻53.ごめんなさい ページ23

もういい歳の大人が、お化けや夜に怯えるなんて、変だと思うだろうか?




私は思わない




むしろ、忘れてしまっている事の方が怖いと
思うのだ







そもそも夜の世界を支配しようだなんて、この組織が間違っている気がする






いくらネオンで飾ったって

いくら我が物顔をしたって







暗闇は消えることなく、より一層その陰を濃くする







夜を蹂躙しようなんてこと、不可能なのだ






『夜の怖さ、思い出して』







私はそのまま背をむけた






__ビュッ!!!







私の視界を、何が遮った





それは、先程、凶悪なお化けが壊した壁の瓦礫




「逃げ出そうなんざ、いい度胸だなァ?

‥‥‥‥A」





今一番聞こえてはいけない声がした




私は錆び付いた人形の様な動作で振りかえる





「手前の居場所はここだ



逃がさねェよ。腹くくれ」




『中原、さん』





彼は、凶悪な笑みを浮かべた





「まさか、自分で拘束といちまうとはなァ


異能力持ち



首領が戦力にしたがる理由はこれか」




『中原さん‥‥お願いです!行かせて下さい』





「行かせるわけねェだろ


首領の命令だ」





そう言うと、彼はその瞳に影を落とす




「手前に同情はしてる




任務は仕方ねェにしても、悪いようにする気は
ねェ




手荒な真似はしたくねェんだ






頼む」





心なしか悲痛な響きの声だった




とてもマフィアらしからぬ声





悪い人では無いのだと思う





でも




『中原さん。



同情は、要りません


生意気だとは思いますが



「かわいそう」ほど、失礼な言葉はないんです




私の様な人間には、特に』




自分が今どんな顔をしているのか分からない



泣いているのか。笑っているのか



彼が目を見開く





「手前、その目‥‥」







『ごめんなさい。中原さん


貴方のこと、ほんとにお兄さんみたいだった



でも、私はここには居られない






‥‥ここに居るのは、もう、嫌だ』





それだけ言うと、私は身を翻した




「! おい、待て!」



中原さんの私を呼び止める声がした




私は止まらない





ズドォォン!!!





背後で、物凄い音がした





「!? なんだ!?ハサミ‥‥!?」





ごめんなさい




ごめんなさい中原さん





私を捕らえなくちゃいけない立場なのに、私を心配してくれたの、嬉しかった




でも私は此処に居るわけにはいかない






ごめんなさい

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りんず(プロフ) - ユイさん» ユイ様、コメントありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです! (2018年4月8日 10時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - おもしろかったです (2018年4月8日 1時) (レス) id: e31a251f71 (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 「名もなき贖罪の銃士の少女」さん» ありがとうございます!(^-^) (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
「名もなき贖罪の銃士の少女」(プロフ) - 良かったです!これからも頑張って下さい! (2018年4月4日 20時) (レス) id: bb589a0fac (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 「名もなき贖罪の銃士の少女」さん» 「名も無き贖罪の銃士の少女」様、イメ画ありがとうございます!とっても嬉しいメッセージまで添えて頂いて、にやけそうになりましたが、自分で足を踏んづけてこらえました((近々載させて頂きます!本当にありがとうございました! (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんず | 作成日時:2018年3月16日 19時

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