あなたをさらいに夜がくる ２【文スト】【深夜廻】

色々感謝の番外編「誕生日」 ページ15

＿＿ありがとう、お父さん



二年前、コトワリ様に壊されてしまった
お父さんの形見



「！？ A、どうしましたの！？」


『え‥‥？』



気がつけば、私は泣いていた





「‥‥気に入らなかった？」





『あ、違うんです！』






確かに甦った思い出のせいもあるけど。






歳の近い友達に祝って貰えたのは本当に久しぶりで





『お祝いして貰えるって、こんなに嬉しいん
ですね‥‥！』




「！ ふふ」




「(ギューッ)」






涙を拭いながら言うと、ナオミさんは微笑み
泉さんは無言で私に抱きついた





「今度、
与謝野先生も入れて女子会しましょう！」



『はい、是非！』



「‥‥A、乱歩さんから伝言」






素敵なお誘いに心を踊らせていると、泉さんからとんでもない言伝てを聞かされた







＿＿後で、探偵社来てって






‥‥行かなくていいですか





＿＿＿＿
＿＿





ぱん！






扉を開けると、クラッカーが一発なった






「‥‥宮沢さん！びっくりした‥‥」





「大分遅れまして、お誕生日おめでとうござい
ます！Aさん」






麦わら帽子の少年がにこにことしている








『夏姉に私の誕生日話したんですね』






「はい！あの様子じゃ、夏さん知らなかったん
ですねー。すっごく怖い顔してました」







『あはははー』






私は思わず棒読み





「これ、贈り物です！」





そんな私の目の前に、宮沢さんは洒落た包みを
差し出した





『綺麗なラッピング‥‥
開けてみても？』





「どうぞ！」





丁寧に包みをほどく




そこには




『わあっ、可愛い‥‥！』





淡いすみれ色のハンカチーフ



「僕は都会の事はよく分からないので、与謝野
先生に頼んで一緒に来てもらったんですよ！


ショッピングモールって広いんですね
やっぱり都会ってすごい！」



『その気持ちすっごく分かります』




私もかなりの田舎で育ったからな‥‥




「じゃあ、僕はこの後お仕事があるので！

また今度お話ししましょう！」


『はい！素敵なプレゼントをありがとう
ございました』


にっこりして出ていく宮沢さん


彼の周りってマイナスイオンが出てる気がするんだよね


仕事の時は凄いのだと敦から聞いた事があるの
だけれど、どうなのだろう


あまり想像ができないな

そんな事をぼけっと考えながらハンカチーフを包み直していると


「A」


後ろから与謝野さんに声をかけられた

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