あなたをさらいに夜がくる ２【文スト】【深夜廻】

夜廻７５.似て非なる ページ48

名無しの柊様が描いて下さいました！
とっても可愛い夢主ちゃんです。見てて癒されますね。

本当にありがとうございました！



＿＿＿
＿




‥‥やっぱり、見抜かれてしまった



本音を言うと、大丈夫な訳がない


過去のトラウマ。本能的な恐怖




出来ればもう二度と対峙したくなかった





だけど、そんな事言ってられないじゃないか




あそこにはエリスが居るんだ




私の「大切な人」を




二度も奪われて、たまるか





『大丈夫です』



しっかり目をあわせて言うと


「‥‥その様だね」



森鴎外さんは少し微笑んだ




私が頷くと、肩を後ろからガッと掴まれる




「‥‥マズイと思ッたら即刻撤退する」



『え？』



「無茶な真似はするんじゃねェ


怪我はすんな






‥‥分かッたな」






『‥‥はい』




深呼吸すると、扉の前に立つ




その部屋は、
伸ばした手をいとも簡単に受け入れた






＿＿＿＿
＿＿




激しい動悸がする



酷く冷え込んだ空気が私を静かに圧迫した






私が入って来た事に気づいた鏡の怪異が、ふっと顔を上げ




ニコッと微笑んだ




【A！】




『！！』




【戻って来てくれたの？

私と遊びましょ！】





背筋に冷や汗が流れる


姿が色を失っている事を除けば、その全てが
エリスと全く同じ物だった




『‥‥違う』



声が震える



『貴方は、貴方は違う』



震える指先が、一番手近なスタンドランプに触れる




パチン、と音が鳴り光が消えた瞬間




【‥‥A、なにしてるの？】




鏡の怪異の表情が、一瞬抜け落ちた



『私は貴方を消さなきゃならない


‥‥エリスを返して』



【変なA！】



私の要求に、鏡の怪異は大層可笑しそうに唇を歪める



【私達は二人とも「エリス」よ？】



ほら、全く同じでしょ？



いびつに微笑んだそれに、私は身震いした



違う、違う。


エリスはそんな笑い方しない


あの子は、もっと嬉しさが零れる様な笑い方をするんだ



そんな歪んだ笑い方は絶対にしない



私は横目で部屋を確認した




スタンドランプはあと２つ



‥‥やらなきゃ




『‥‥貴方は、エリスじゃない』




【‥‥酷いA】



静かに微笑むその姿は、最早不気味でしか
なかった




【私、Aが居なくなって寂しかったのよ？



Aが戻って来てくれてすっごく嬉しいの


‥‥なのに、Aは私を否定するんだ



ねェ、酷いと思わない？エリス】

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