あなたをさらいに夜がくる ２【文スト】【深夜廻】

夜廻４０.中原中也 ページ3

こちらを見据える瞳


私はベッドの上でピシリと硬直した



本能的にこの人もヤバい人だと判断する



「‥‥‥手前、どうやって取り入った」




『‥‥‥‥へ？』



「どうやって首領に取り入ったのかって
聞いてンだよ」



『は！？』


いきなりなんてこと言い出すんだこの人は




『冗談よしてください！私に取り入るなんて
高等なことできると思ってる貴方が驚きです！
そもそも私だって帰れるもんなら帰りたい
ですよ！でもお宅の首領がそうさせてくれない
んです！
この手かせ見えます！？』



「お、おう‥‥」


私の気迫に押し負けたのか、帽子さんは一歩
後退する


『あ、じゃあ貴方この手かせ外してくれませ
ん！？

私のこと気に入らないって顔してたじゃない
ですか！

私がここからいなくなった方がいいでしょ！』



「だあーーッうるせえッ、ちょっと黙れ！」


機関銃のようにまくしたてる私は、帽子さんの
一言でピタリと黙る



この数日間の経験上、黙れと言われたら黙る方が賢明だと知ってるのだ



「端から喋ったこともねェ初対面の奴を毛嫌い
するほど俺は馬鹿な奴じゃねェよ

手前がここから全力で逃げたがッてることも
分かった

だが首領の命令だ

俺は手前をここから出す訳にはいかねェ」



最後の言葉に激しく絶望する




でも、はたと気づいた


あれ、ちょっと待って？


‥‥なんか、この人いい人っぽい？


なんというか、今までの人とは明らかに違い、労ってくれてる感じが‥‥




『‥‥すみません

お名前伺っても？』




「あァ？‥‥中原中也だ」




ん？



なんか、どっかで聞いた気が‥‥

＿＿＿＿＿＿＿



(えっ！？
あの人ポートマフィアだったんですか！？)



(だったもなにも、
彼の人は此処の元最年少幹部。
昔は『中原幹部』と合わせて、「双黒」と
渾名された御仁だぞ)



＿＿＿＿＿＿＿＿




中原幹部



中原




『ああぁーーっ！！』



「！？」




『あ、あの、貴方もしかして、
昔太宰さんと




バキッッ！！！！




何が壊れる音に言葉は遮られた


中原さんが、そばの壁を殴り壊している


漫画のように綺麗にヒビの入った壁に、私は
青ざめた


「あア、悪い

何か不快な単語が聞こえた気がして、思わず
手に力が入ッちまった



‥‥‥それで？」




＿＿＿＿今、なんつッた？





‥‥太宰さん




貴方、この人になにしたんですか！！


この場にいない包帯の彼を激しく憎んだ

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