魔除けの黒猫 ページ47
「諭吉さん……」
「何だ?」
「……今、色気があるって言いました?」
真夏のチョコみたいに。
その熱い唇で、このまま溶かして欲しかったのに。
「ああ、言った」
大真面目な顔で、変な事を言いだすから。
「……色気、あります? 動物園に?」
「違う! ここだ、ここ!」
諭吉が怒ったように、頭をボンボンと叩く。
レイヤの頭を。
「は?」
「ここに、あるではないか! どうしようもない色気が!」
「私!? 」
諭吉が頷くので。
「いや……、いやいや、それは…………。いや、ないでしょ?」
「ある! 手に負えぬ、たちの悪い、厄介な色気が!」
手に負えない、タチの悪い、厄介な色気!?
………………それって、色気なの?
「あのー、自分で言うのも何ですけど、私、色気より食い気タイプなので……。こんな私に色気なんてものが、もしあるのなら、自分で見てみたいですよ?」
あはは、と力なく笑ったのだが。
「……そうか。色気があるなら見てみたいか。そうか、見たいか……」
「もしあるのなら。……まあ、ないですけど」
諭吉が少し目を細め、口の端を上げ……、
それはそれは、大人の男の色気に満ちた、妖艶な笑みを浮かべた。
「では、見せてやろう」
「……え?」
言うなり、レイヤの髪をひとすくいし、そこに口づけをした。
「うわっ」
「この黒髪は、実に色気に満ちておるな」
「え、……髪、ですか?」
「そうだ」
諭吉がすっかり慣れた手つきで、今日はレイヤのサイドの髪を留めている、黒猫の髪飾りを外し。
「これは、な。魔除けの黒猫だ」
「へ?」
「何人たりとも触れるなよ。この髪に触れて良いのは、黒猫の持ち主と、それを贈った者だけだ。……と、常に目を光らせておるのだ」
「……ウソ」
深く妖しく光るのは、黒猫ではなく……。
諭吉の瞳。
髪飾りのなくなったレイヤの髪を、その手で包むように撫で。
「こうして、この髪に触れれば触れる程……、離せなくなる。誰の目にもつかぬ、私だけのレイヤにしたい。……叶わぬ願いだ。だから、苦しい。いつも私を苦しめる。手に負えん、厄介な色気だとは思わぬか?」
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カナコ(プロフ) - はるこいさん» 感想ありがとうございます!作者冥利に尽きます、幸せです!キュンキュン大事ですよね☆一気にお読み頂いた後は、社長の腕の中ですぐに寝て下さい!くれぐれも、寝不足で体調崩したりしないよう、お気をつけ下さいね!今後もよろしくお願いします! (2017年3月29日 14時) (レス) id: 5accc3d174 (このIDを非表示/違反報告)
はるこい - はじめまして!社長との恋愛…凄くキュンキュンですね!!言葉の運びが上手で読んでて全く飽きないので睡眠時間も削って一気読みしちゃいました♪これからも更新楽しみにしています! (2017年3月29日 12時) (レス) id: 531fa6c09a (このIDを非表示/違反報告)
カナコ(プロフ) - りりさん» ありがとうございます!嬉しい!興奮して飛んだり跳ねたり走ったりしちゃいます!イッキ読みでお疲れではないですか?ぜひ優しくソフトにゆっくりと、社長にいたわってもらってくださいね(≧∀≦) 社長愛たっぷりで更新して行くので、これからもよろしくお願いします! (2017年3月26日 16時) (レス) id: 5accc3d174 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 今日、1から読みました!占ツク内で数少ない社長の小説なので、楽しみながら読みはじめました!読み始めたら最後、ハマってしまい結局全話読んでしまいました(^^)次の更新を楽しみにしてます! (2017年3月26日 13時) (レス) id: bb6c68ea55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナコ | 作成日時:2017年3月18日 11時