想像は間違う ページ36
レイヤはうっとりと、あの時のアレを思い出す。
「そう、それは、とてもステキな、夢のような時間でした……」
「……」
「諭吉さんには、いいのか?途中でやめられないぞ、って言われたんですけど、でも、……好きだったので。だから、思い切って決めて、よかったです」
「……」
「身体中に、今まで感じたことのない、ステキな甘みが広がって。女の幸せって、こういうことよねって、思いました」
「…………」
「それで……、実は初めてだったんですけど……。つい、嬉しい気持ちになってしまって……」
「………………」
「……お口に、入れてしまいました」
「………………………………………」
バタンッ!!!
少年が、その脳内にどんな光景を想像したかはわからないが。
…………白目をむいて、倒れた。
「きゃーーーーー! 敦さんっ、しっかりしてください!!」
倒れた敦と、慌てるレイヤに、すぐに駆け寄ったのは……、谷崎潤一郎、ただ一人。
「ああっ、谷崎さん、どうしましょう! 敦さんが……っ!」
谷崎は敦の状態を一目見て、
「ああ、大丈夫だよ。ちょっと気絶しただけ」
「ええ!? それって大丈夫なんですか!? ああっ、私が変な話をしたせいで……!」
変な話…………。
谷崎潤一郎は……、
余計なことに首を突っ込むつもりは、毛頭ない。
ないのだが……、
やはりここは、尋ねざるを得ない。
「あの、さっきから、所々聞こえちゃったんだけど……、ナンの話、してたの?」
「え!? やだ、谷崎さん、聞いてたんですか!? ……えっと、社長に、美味しい栗を、……あーんって、食べさせてあげちゃった話を……」
「……………………だよね」
「え?」
「いやいや、そんな事だろうと思ったけど」
「そんな事って何ですかー! もう恥ずかしい! 谷崎さん、秘密にしといてくださいね! 絶対、誰にも言わないでくださいね!」
ああっ、恥ずかしい恥ずかしいっ、と顔を覆うレイヤに。
谷崎は思う。
別に、あーん、くらいどうって事ないし……。
むしろ先程のように主語を隠し、遠回りの言い方で伝えた方が、恥ずかしいのでは……!?
少年・敦も、色々と脳内で想像を巡らせてしまった末に、……想像を間違え、オーバーヒートして気絶したのでは……!?
なんて……、
疑念を抱かずにはいられないが。
それはそれとして、谷崎は敦の耳元で囁いた。
気絶から一発で覚醒する、魔法の呪文を。
「敦くん、医務室で与謝野先生に診てもらおうか?」
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カナコ(プロフ) - はるこいさん» 感想ありがとうございます!作者冥利に尽きます、幸せです!キュンキュン大事ですよね☆一気にお読み頂いた後は、社長の腕の中ですぐに寝て下さい!くれぐれも、寝不足で体調崩したりしないよう、お気をつけ下さいね!今後もよろしくお願いします! (2017年3月29日 14時) (レス) id: 5accc3d174 (このIDを非表示/違反報告)
はるこい - はじめまして!社長との恋愛…凄くキュンキュンですね!!言葉の運びが上手で読んでて全く飽きないので睡眠時間も削って一気読みしちゃいました♪これからも更新楽しみにしています! (2017年3月29日 12時) (レス) id: 531fa6c09a (このIDを非表示/違反報告)
カナコ(プロフ) - りりさん» ありがとうございます!嬉しい!興奮して飛んだり跳ねたり走ったりしちゃいます!イッキ読みでお疲れではないですか?ぜひ優しくソフトにゆっくりと、社長にいたわってもらってくださいね(≧∀≦) 社長愛たっぷりで更新して行くので、これからもよろしくお願いします! (2017年3月26日 16時) (レス) id: 5accc3d174 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 今日、1から読みました!占ツク内で数少ない社長の小説なので、楽しみながら読みはじめました!読み始めたら最後、ハマってしまい結局全話読んでしまいました(^^)次の更新を楽しみにしてます! (2017年3月26日 13時) (レス) id: bb6c68ea55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナコ | 作成日時:2017年3月18日 11時