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「さて、残るはシュークリームだが……」
レイヤの唇を味わった諭吉が。
今度は、レイヤの耳元に口を寄せ。
「確かシュークリームは、『夕食の後のお楽しみ』と言っていたな?」
そう問う、諭吉の息が。
レイヤの耳をくすぐる。
「レイヤの『夜のお楽しみ』とは、さぞかし心躍る遊戯であろう。私も今から楽しみだ」
そう笑う、諭吉の唇が。
動くたび、レイヤの耳にかすかに触れる。
「夜の楽しみを担うシュークリーム無き今、この私が、シュークリームに勝るとも劣らぬ楽しみを、たっぷりとレイヤに与えてやらねば、な」
「っ……!」
レイヤの背中を撫でる、諭吉の手は。
気まぐれに遊んでいるようで、確実に、レイヤの体を力を奪う。
「案ずるな。今宵は私がレイヤを満足させてやる。レイヤが欲して止まなかったシュークリームの……、六回分」
……六回分?
それを言うなら、『六個分』ではないのだろうか?
「ゆ……、諭吉、さん……」
「ん?」
「……間違ってます。……買ったシュークリームは、六個。『個』でしょ……?」
「ほう。レイヤに言葉の間違いを指摘されるとはな。……帽子がくたびれてしまうレイヤに」
「……え?」
「どこで間違えて覚えた? 正しくは『骨折り損のくたびれもうけ』、だ」
「…………え!? それって……、『骨折り損のくたびれ帽子』じゃないの!? え、ホントに?」
「レイヤ……。私の辞書を貸してやろう」
「へ!? 辞書!? まさか、辞書を読めとか言う?」
「辞書は読むものだ。……もうだいぶ昔の話だが、乱歩にも貸したことがある」
「……乱歩さんに?」
「ああ。出会った頃だ。確か『相互扶助』という言葉だったか……。乱歩が言い淀んでいたことがあってな。貸してやったのだ」
「そ、そんなことが……。乱歩さんでも、知らない言葉、あったんですね……。いや、やっぱ諭吉さんが物知りすぎるんですよ! 私が言葉を知らないってわけじゃなくて!」
「乱歩はな、翌日に辞書を返してきた」
「あ、やっぱり! 辞書なんて普通読みませんよね!? 無理ですよね!?」
「一日で全て読んだので返す、とのことだった」
「!?!」
「一日とは言わん。ゆっくりと読め」
違う意味で、力が抜けていくレイヤを。
諭吉がしっかりと抱き留めた。
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カナコ(プロフ) - 山田琉愛さん» ありがとうございます!お優しいコメント、身に染みます(泣!いつも「この書き方で読者様にちゃんと伝わるかな?」と悩みながら書いてるので、キュンキュンすると言ってもらえて嬉しいです!ゆっくりでも、福沢諭吉の魅力をガッツリ書きます!よろしくお願いします! (2020年4月22日 12時) (レス) id: 596e7dae07 (このIDを非表示/違反報告)
山田琉愛(プロフ) - カナコさん» 更新無理せず頑張ってくださいね!作者様の書く諭吉さんは私の中でとっても理想の諭吉さんです。作者様の作品読むと胸がキュンキュンして、とっても満たされます!夢女子にはたまらないです!!! (2020年4月22日 1時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
カナコ(プロフ) - 山田琉愛さん» ぎゃー!コメントありがとうございます!諭吉さんが好きな人に読んでもらえて、作者もすっごい嬉しいです!諭吉さんは恋人には甘々ですねw引き続き楽しんでもらえるよう、甘々気分になれるよう更新していきたいと思います! (2020年4月21日 16時) (レス) id: 596e7dae07 (このIDを非表示/違反報告)
山田琉愛(プロフ) - 武装探偵社の社長がこんなに甘々なの見れてすっごい嬉しいです!!諭吉さん好きなのでこの作品読めて嬉しいです!! (2020年4月21日 15時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
カナコ(プロフ) - 空梅雨さん» はわわわ、コメントありがとうございます!作品公開してすぐにコメントいただけて、とても嬉しいです!これからも社長のカッコよさをいっぱい伝えられるよう、更新頑張りますので、よろしくお願いします! (2020年4月20日 8時) (レス) id: 596e7dae07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナコ | 作成日時:2020年4月19日 16時