おうちゆきち【文スト・社長】

かたいゆきち(１) ページ23

「え、すごい……、諭吉さんの……、こんなに固いの？」
「……驚く程でもなかろうに」

「驚きますよ。こんなに固いなんて……」
「そうか？」

「うん。……こんな固いなんて、私、知らなかった」
「おい、レイヤ。指先で、そのように触るでない」

「だって……、すごい固いから……、つい……」
「レイヤ……。特筆すべきは、私のものが固いことよりも、レイヤのものが柔らかいことの方だ」

「え、私の……？」
「ああ。レイヤは……、柔らかいな」

「そ、それは……、諭吉さんに比べたら、柔らかいけど……」
「こうして触れば……、この柔らかさが良く分かる」

「あんっ、やだっ。指で、そんなにいじらないで……っ」
「先にレイヤが弄んだのだぞ？ 私のものを」

「そ、そうだけど……、諭吉さんの指で、そんなに激しく、ぐちゃぐちゃされたら……、変になっちゃうぅっ！」
「何を言う。これしきの強さで、変になるものか。普段はもっと、激しいではないか」

「あっ、あっ、ちょ、だめっ。もう、これ以上は……、だめぇ……！」
「駄目、と言われると……、もっと、してやりたくなる」

「もうっ、イジワルっ。諭吉さんばっかり……、ズルいです！」
「では……、レイヤも、いじるが良い。私のものを」

「えっ！？ そ、そんなこと……」
「先程のように、その可愛らしい指先で、撫でてみろ」

「で、でも……」
「どうした？ このままでは私のみ、一方的に堪能するばかりだ。レイヤの柔らかさを、な」

「うっ……。じゃあ、私も……、やります。諭吉さんの……、この、固いところを……、こうやって、触って……」
「ぬおぉ！ 待て、その指遣いは……っ！」

「それから、こうやって、ぎゅっぎゅっ、って、しちゃいますからね？」
「お、おい、しごき過ぎだ、レイヤ……。それは……、やり過ぎだ！」

「諭吉さんだって……、んっ……、あっ……、ちょっと、やりすぎ……っ」
「ぐっ、レイヤに負ける訳にはいかんのでな……っ」

「あぁん！ もう、ホントに……、だめぇ……！！」
「だ、駄目だ、このままでは……、くうぅっ！！」





固い諭吉と。
柔らかいレイヤ。

互いに愛し合う仲だけれど。

正反対だ。

……歯ブラシの、毛の固さの好みは。

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