おうちゆきち【文スト・社長】

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早朝に、目が覚めた。

カーテンの隙間から差し込む朝日で、部屋は随分と明るくなっている。

隣には……、もちろん、諭吉。

腕枕をしながら、無防備な寝顔を見せてくれている。

信じられない。
夢のようだ。

昨晩の諭吉とは……、まるで違う。

ネクタイでレイヤの手首を縛り。
レイヤの体の自由を奪い。
心までも、染め上げて。
深く繋がった、真夜中の諭吉とは。
まるで別人のよう。

ああ、けれど……。

『どうした、レイヤ？ いつもより、感じているようだな』

あの諭吉の言葉は、……本当だった。

いつもより……、感じた。

諭吉のくれる快楽を……、そして愛を……、
おかしくなるほど、感じていた。

思い出すだけで、発火しそうに熱くなる顔を。
両手で覆い。

……ふと、手首を見ると。

ネクタイはおろか、縛られた痕すら、見られない。

もはや愛おしささえ感じるネクタイは。
ベッドの下へでも落ちてしまったのだろうか。

体を起こし、ベッドの下を見れば。

「……え！？」

そこには、やはり蛇のように、ぐにゃりと。
落ちているネクタイ。

……のみならず。

脱ぎっぱなしのスーツと。
スラックスと、ワイシャツ。

夜中に目覚めて、大切にハンガーにかけたはずの、それらが。
床にだらしなく横たわり、見事にシワを刻んでいた。

「……どうした、レイヤ？」

レイヤの気配に、目を覚ました諭吉の声。

レイヤが、狐につままれたような顔をしていることに気づき。

「どうした。何かあったか？」
「あ……、いえ……、諭吉さんのスーツが……」

「スーツがどうした？」
「あの、私、夜中に目が覚めた時に……、スーツをハンガーにかけたんです。シワにならないようにと思って。それなのに……、今見たら、床に脱ぎっぱなしになってて……」

諭吉も、首をめぐらせ、床を見る。
そして、

「ああ、そうだな。私が脱いで、そのままだ」
「なんで！？ 私、夜中に起きた時、確かにハンガーに……」

「……いや。レイヤは、夜中に起きてなどいないぞ」
「へ！？」

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