みんなの俺と、誰かのあなたを

episode.4 ページ5

side 蓮



「え、…あ、あの〜、、」



彼女に意識を奪われたまま


何も言えずにいた俺を


不思議そうな顔で見つめる



目「あ、いや……、大丈夫、です、」



衝撃ですっかり酔いはさめた



「なら、良かったです」



ホッとしたように笑う彼女に


鼓動は早くなるばかり



「戻れますか？不安だったら一緒に行きますよ」

目「あ、…、すいません、お願いします、」



本当はもう1人で平気だ


それでも、まだ少し彼女と居たい



隣を歩く彼女はとても華奢だった


あのモデル達のように細すぎなくて


顔だって、特別整ってる訳でもない


ただ、誰よりも美しかった


今までの人生で出逢った誰よりも


彼女が1番、輝いて見えた



目「あの……、」

「はい？」



俺の方の会場の扉の前


頭を下げて戻ろうとした彼女を引き止める



目「連絡先、交換していただけませんか」



あれほどウザったく感じていた言葉を


俺が異性に放つことなんて想像もしてなかった


自分の連絡先は高い、なんて


彼女の前では通用しない



少し考える素振りを見せた彼女は



「……すいません、連絡先はちょっと、笑」



そう眉を下げて言った



目「……そうっすよね、笑 怖いっすよね、普通、」

「あ、えっと……、、」



困らせたいわけじゃなかった


彼女とこれで終わりたくなかっただけ



諦められなくて俺が次に発した言葉は



目「もう一度、もしどこかで出逢えたらその時は、、。

　 その時は、俺に連絡先教えてください」



彼女はキョトンとして


可笑しそうに笑った



「ふふ笑 はい。その時は」

目「え！まじっすか！？！？」

「……もし、もう一度出逢えたら、ですよ」

目「嬉しいっす！……っしゃっ！」



小さくガッツポーズまでして


俺ってほんと単純だ



「酔い、だいぶ覚めてますね」

目「はい、おかげさまで、笑」

「それじゃ、またどこかで」



彼女は小さく頭を下げて


俺の前から姿を消した

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