みんなの俺と、誰かのあなたを

episode.22 ページ23

side 蓮



仕事が早く終わった日


翔太くんは送るって言ったけど


なんとなく歩いて帰りたい気分だった


家までは歩いて1時間くらい


外の空気を吸うのは心地よくて


ふらふらと知らない道を通りながら歩いていた



目「あ、、、、」



目の前に現れた大きなビル


看板を見上げると


名前さんが勤めていると言った会社だった


今もしここでまた会えたら


きっとそれは運命だ、なんて浮かれながら


ランチ時で人が多い辺りを見渡す


とっくに終わってしまったLINEのやり取り


名前さんも忙しいんだろうな、っては思うものの


会いたい、なんて連絡が出来ないままだった


たくさんの女性が通る中で


一際目を引く女性


ビルから出てきた瞬間に気がついた



目「名前さん......っ、」



急いで駆け寄って声をかけると


彼女はビクッとして俺を見て



「え.........、」



と、不審そうな顔で俺を見た


深く被っていた帽子を脱ぎ、マスクを少しずらして



目「すいません、ビックリさせてしまって、」



と言うと、俺の大好きな顔で


ふわっと笑った



「あ、目黒さんか笑 誰かと思いました笑」



バレたらまずいので、と


彼女はまた俺に変装をすぐ促した



「どうしてここに？」

目「散歩してたらたまたまここ来て、名前さんの会社だーって思ってたら名前さんが来て笑」



そんな偶然あるんですね〜、と笑う彼女



目「今お昼ですか？」

「うん。やっと仕事が一段落したので笑」

目「おひとり...、ですか？」

「あ、いえ、もう少しで来るんですけど......、」



もし1人ならご飯でも、って思ったけど


それはさすがに高望みすぎたらしい


深澤さんかなーって思って


少しの間だけ彼女と話していた



「あ、連絡、中々返せてなくてすいませんでした、」

目「全然気にしないでください笑 俺も、まめに返さないタイプなので笑」
目「.........あ、あの、」

「はい？」

目「毎日、連絡とりたいって言ったら、迷惑ですか？」



彼女の返答が怖いと思いながらも


聞かずにはいられなかった



「............、」



言葉を詰まらせる名前さん


あぁ、やらかした、と



「...、なるべく、返すようには頑張ります、笑」



そう言って貰えた事実だけで


俺は満足してしまった



目「じゃあ！LINE、送ってもいいんですか！？」

「はい、笑」



彼女が少し困ってることには気づいてる


それでも、嬉しかった

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