プロローグ ページ1
ここは、雨上がりのシブヤ。
時刻は丑三つ時をすぎた。
本来ならば、人では無いものを探すだろうが、
今はそんな、余裕はない。
人気の消えたスクランブル交差点付近を、
宛もなく、ただ、走る。
先程から、何回、転んだだろうか。
髪は汚れ、膝は、赤く、青く、なっている。
途切れ途切れの息をして、足をどうにかして、持ち上げる。
走れ、
走れ、
雨で、出来た、水たまり、を、容赦なく、踏みつ
け、飛ばし、アスファルトを汚す。
キラキラ光る、街の灯りが、滲んでは、ぼやけ
て、霞む。
重たい頭を、立て直すため、顔面をひっぱたく。
霞みが消えた。
肩に掛けてある、黒い、ショルダーバッグを掛け
直し、また、走り出した。
次の瞬間、足がもつれて、バランスを崩した。
目の前には、階段。
真っ逆さまに転げ落ちた。
自分よりも、ショルダーバッグの、中身を、大切
に、抱えて。
階段から、落ちきった。
地面に、着いた、勢いで、抱えていた、ショルダ
ーバッグが、滑りやすくなっていた、アスファル
トを滑っていく。
『まっ……………て……………………』
手を伸ばし、伸ばし、伸ばし、伸ばし、
伸ばしたところで、私の意識は消えた。
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作者名:羽憐 | 作成日時:2019年4月17日 20時