あの日地球が終わる (ページ5)

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違和感を理解するページ5

この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、事件等には一切関係ありません

思考の中にドップリとハマっていた僕は一気に現実に戻された。

早塚が辺りを仕切りに見渡し始め

「おい、何だ！今の声」

息を吹き替えしたように全身に電気のような痛みが走る。

この声、つい最近もどっかで聞いた声と似てる。発されている音の高さは違うが叫び方が似ていた。

今すぐ逃げたい自分が何かを躊躇している。何だこの感覚、心に残る違和感。

「……A？」

いつもとは違う感覚で早塚の声が耳に入って抜けていく。

声が聞こえるのはどっちだ。

「ちょっ！？おい！何処に行くんだよ！」

僕の中で逃げ出すと言う選択肢は友人を捨ててまで選択することは出来なかった。どうしてか、そう考えると体の緊張より、何をすべきかが分かった今、体が勝手に声の元を探していた。

焦って走っている割りには冷静ぎみに考えてみる。

そうだ、そうじゃないか。

もしかしたら、何か事件があったのかも知れない。

別に夢の中見たあの化け物が、現実で出たとは限らないじゃないか。

足が自然と速くなる。

無駄に入り組んだ住宅街を抜け、聞こえてくる声の方角は僕から見て左。
と言っても、僅か数歩先なんだけど…。

ここは確か、駅の近くにある歩道。

頭の3割は混乱していたのか、声の近くへ一歩一歩近づくに連れ、その叫びは複数の人から発っせられていることに気付く。

「おい。あれ、猿じゃないか？」

「やだ！何でこんな所に居るよ！」

叫ぶ声の中から聞こえてきた言葉に、又も安心を取り戻す。

普段の自分ならばこの騒ぎの一部として参加するのだろうが、今はそんな気分じゃない。

一息吐いて、来た道を戻り始める。

早塚が待っている筈だ。

予想とは違った結果に自分の足はさっきより軽くなる。

内心どうでも良かったのだが。
一応、上京初の野性動物を、拝んでおこうと立ち去る途中で下を向いていた目を、斜めに上げて行く。

「確かに猿だ…な」

恐らくは電柱を伝って屋根の上に登ったのだろう。ピクリとも動かない猿が一匹、野次馬を見ているだけだ。心の何処かに違和感を感じながら猿を視界から外す。

早塚にどう説明しようか、あいつの事だ。もうとっくに知り合い絡みで猿騒ぎは、知っているだろうけど。

一応、言っておこうかな。

そんなどうでも良い事を真面目に考える。

「え、何よアレ」