現場突撃! ページ5
私は山田兄弟に貰った情報をもとに、バスで港町のほうへと移動した。
警官制服で公共の乗り物に乗ると可笑しいだろうが、今日は私服での調査なので他人の視線は集まることはなかった。
その辺りでも聞き込み調査を続け、例のヤツはある建物に入っていったのを見たという証言を手に入れた。
そして今、私はその建物の前にいる。
それは少し古びた小綺麗なテナントのような建物。
いかにもな感じがして、私はごくり、と唾を飲み込む。
覚悟を決め、ドアノブをひねる。すると、キィ…という小さな音を立てて扉が開いた。
中は薄暗く、私は足音を立てないように気を付けながら奥へと進む。
すると、一つの部屋の中から誰かの話し声が聞こえてきた。
「つーか、お前仕事はいいのかよ」
「今日は個人だから別に大丈夫ですよ。それより例の情報は…」
バンッ
私は先に体が動いていて、気づくと銃を構えた姿勢のままドアを蹴り開けていた。
「動くな!貴様らには…っえ?」
部屋の中には二人の男がいた。
私が探し求めていた、写真の男。そして、
「銃兎、先輩…?」
…もう一人は私の尊敬する、そして、共にこの目の前の男を追っていたはずの入間銃兎先輩だった。
「…なんだお前。おい、銃兎この女知ってんのか?」
「…ええ、まあ。警察ですから」
彼らは怪訝そうな顔でこっちを見つめてくる。
私は状況が読み込めず、発する言葉が出てこない。
「え、何で、先輩は、調査中のはずじゃ、」
「…A、そうです、探していたのはこの男ですよ。やっと見つけたんです」
やっと捕まえれるんです。
そう言って先輩はいつもの微笑みで私に歩み寄ってくる。
その笑顔に安心してしまい、私は銃を持つ手を緩めてしまった。
その瞬間、彼が一瞬真顔になったかと思った途端に銃を蹴られ、それは手の届かない場所へと飛んで行った。
そして私が攻撃する暇もなく腹に一撃。それだけでも私を行動不能にするには充分だった。
「―ッ、どう、して」
「うーん、どうして…君は秘密を知ってしまったんです。私もそれが世間に出回ると困るので。
…多少の暴力は許してくださいね」
うずくまる私を見下ろしてくる先輩。
―知ってしまった。私はここに来るまでに会った色々な人の助言が頭によぎった。
「そん、な、信じて、たのに…」
「…私は最初に言いましたよ。一人で無理に捕まえようとするな、と。」
それを聞かなかったのは貴方ですよ、という言葉を聞きながら、そこで私の意識は途切れた。
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くらげ(プロフ) - うわぁあ…すみません、夜中の更新で寝ぼけてました…(言い訳)訂正しておきますね、報告ありがとうございました! (2018年10月12日 23時) (レス) id: 83c8e44be3 (このIDを非表示/違反報告)
千平(プロフ) - 先生視点おまけ4行目、シンジュクの左馬刻じゃなくてヨコハマの、ではないでしょうか? (2018年10月11日 4時) (レス) id: e2b806019f (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 琴葉さん» 確認したところ『佐』になってました…!教えていただきありがとうございます! (2018年9月23日 16時) (レス) id: 83c8e44be3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉 - 左、馬、刻ですよ (2018年9月23日 12時) (レス) id: cc1af6d8b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2018年9月18日 0時