なるほど、これが本当の浮気ってやつか【夏油傑】

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父様と母様はAを愛しているんだよ

母様が作った物以外食べないって約束でしょ！？

吐きなさい、Aの身体に必要ない









母様のご飯はいつも変な味がした
母様の作るご飯以外を食べると吐けと言われた

与えられたものだけを素直に受け取るのが正しい

変な味のご飯も、苦しい鍛錬も全ては愛情
父様と母様はいつも私を愛してくれた








いつしか、愛されるのが怖いと感じ始めた

痛い思いをするのが愛だと
我慢しなくてはいけないのが愛だと

冷たく息苦しいのが、私の知る愛









「…母様、痛いｯ」


「愛しているのよ？我慢しなさい」


「母、様…ｯ」









そしてある日、聞いてしまった









「我が一族の恥よ、あんな嘘をつく子なんて…」


「愛せるわけがない」









その時初めて知った

私は愛されていなかったんだ
幼かった私でも理解できた

それなら、逃げてしまおう





愛されるのは辛い事






私の愛への認識はそうでしかない

これからは愛される事なく生きていこう
愛とは無縁で、自分らしく人生を謳歌しよう

愛は、怖いモノだから









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「……、」


「目が覚めたか」


「しょ、こ…」


「廊下で倒れてるところを虎杖達が運んできたんだ」


「そっか」









懐かしい記憶の一部

家出をしたのは4歳ぐらいだったかな
愛とは無縁に生きようと思っていたのに、幼い私は愛してあげるの本当の意味が知りたくて、知らない人について行った事もあったっけ

結局皆、母様達と同じだったけどね









「ねぇ硝子、私さ」


「知ってるよ、全部知ってる」


「…五条か」


「あぁ、権力使いまくって調べてたぞ」


「ははっ、人のプライベートを…」









私の手を握り眠っている五条

頬には薄らと涙の跡が残っていた









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