はかりごと ページ7
ホールを出て進んだ先の非常階段近くで、立ち話をするのは、リョウクとそのフィアンセと語ったジウンで。
明かりもうっすらとしか届かない、しんと静まり返ったそこに、控えめな声が響く。
「ジウン、ありがとね」
「いいけど…私、ちゃんと出来てた？」
「大丈夫。ヒョンも疑ってなかったでしょ？」
「そうかな」
「せっかくだからさ、たーくさん美味しいものでも食べてってよ」
「そんなこと言われても、緊張しちゃって、全然食べられない」
「大丈夫だってば。ジウンはとにかく僕に合わせてくれてばいいから」
「もう…オッパ、この借りは高いよ？」
「あっはは、なんでも考えといて」
じゃあ、僕ちょっとトイレ寄ってから戻るから、そう言って、立ち去っていく幼馴染の背中を、見送って、ジウンは小さく溜め息を付いた。
いつの間にか有名人になってしまった彼が、久しぶりに連絡をくれたのは、ジウンを共犯相手に選んだからだ。
「ちょっとお願いしたいことがあって、今度ご飯でもどう？」
そんな風に誘われて、一体何事かと待ち合わせた店に向かえば、しばらく見ないうちに、随分落ち付いた雰囲気に変わった彼がいて。
それでも、あ、いらっしゃい、と笑った笑顔は、昔と変わらない愛らしさが残っていた。
相談事は、ちょっと世話焼きで、お節介な彼らしい、はかりごとについてで。
「だってさ、もう７年だよ？ヌナはその間ずっと待ってて、事務所だって知ってて、あからさまに反対されてるって訳でもないのに、結局ヒョンは意気地が無いんだよ」
彼がヌナと呼ぶ女性の存在には、思い入れがあるようで、僕がどうにかしてあげなきゃと、意気込む姿に、少し羨ましさも感じる。
この人に、そんなに大切に思われるなんて、どんな人なんだろう。
そんな興味もあって。
彼の共犯者になることに決めた。
実際その任を負ってみると、かなり荷が重くて、演じた経験なんかもないド素人のジウンには、その会場についたときから緊張の連続だった。
リョウクもふらっとどこかに行ってしまったりするから、余計に心細くて。
引き受けてしまったことを、少し後悔していて、会場に戻る足が進まない。
それでも、一度引き受けてしまった任を、途中で放り出すわけにもいかなくて。
仕方ないと、また無理やり気合を入れて、１歩を踏み出した。
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井上よじゃ(プロフ) - naoさん» え？！！全くの偶然です（笑）うわ、ちょっと鳥肌立ちました。こんなこと…あるんですねぇ（笑）よくあるお名前なんでしょうね？なんか、適当につけたんですけど←、結果ミラクルが起こって良かったです^^ (2013年6月21日 8時) (
レス) id: bdb29f79be (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - なつさん» そうなんです、これほとんどスピンオフなんですけど、前後にとぅぎを入れた関係で迷った末、こちらに組み込みましたｗあ、いえいえ、コメントありがとうございます♪今回もなつさんをたくさん幸せに出来ますように！ (2013年2月15日 14時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - まるでりょぎたんの短編のような・・でも、この章のお話がきっかけでお話が進んで行く感じ。わくわく♪（あ、コメするの遅れてごみんね^^;） (2013年2月15日 13時) (レス) id: 0ba9d9b5cb (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - りんごじゅーすさん» いえいえ、まだ公開したばかりですから。お待ちいただき嬉しいです！ありがとうございます！次章もよろしくお願いします♪ (2013年2月11日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - づうさん» 大変、大変ー！ｗ早かったですか。意外と今回手直しが少なかったので予想より早く公開出来ました。なんかすみませんｗ既に2章も開設しましたのでよければそちらで1番ノリを狙ってくださいｗ (2013年2月11日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：井上よじゃ
| 作成日時：2013年2月7日 15時
