幸せの量 ページ12
上手く応えられないでまごつくと、目の前のヒチョルが自嘲気味に小さく笑った。
「まぁ、気持ちは分かるよ。お前のことだからどうせ、ノロノロしてるヒョンたちみたいにはなりたくない、とか思うんだろ？俺だって、実際、もうどうでもいいかっていつも投げ出したくなるよ。待たせてる後ろめたさも感じてる」
「なら…」
「でも、ジョンスの言うとおり、守ってやりたいって思うと、なかなか踏み出しにくいもんなんだよ。どんなに密に計画しても、不安はゼロにはならねーし、四六時中守ってやることも出来ない。でも結婚すればどうやっても隠し切ることも出来ない。お前ならどうする？それにお前知ってるか？俺らを取り巻くのは見えるしがらみだけじゃねーんだ。契約だってすげーガチガチなんだよ」
スポンサーや番組との契約だとか、違約金だとか。
そんな、知っているようで知らなかった、大人の事情を聞いてしまえば、浅はかだった自分に失望した。
結局ヒョンたちに守られて、そういった事情を知ろうともしなかった自分は、随分大人になったつもりでも、中身はやっぱり子供のままで。
ヒョンたちがむやみに結婚を先延ばしにしているわけでも、イタズラに彼女を待たせているわけでもないのは明白だ。
そして、ヒョンたちがどれほど慎重に準備をしてきているのか、思い知れば、重すぎて言葉が出なかった。
「僕は、僕たちって…簡単には幸せになれないんだね」
「それは違うって。リョウクだって、この仕事をしてなきゃ味わえない幸せがあっただろ？その代わり、普通は手に入りそうなものが、手に入れにくいってだけで。そんなの今更だって」
「そうだけど…ヌナは、普通なのにね。普通の世界で生きてて、それでも普通の幸せが手に入らないヌナは、僕よりずっと幸せが少なくなっちゃう」
今度は、イトゥクが黙り込む番だった。
「ヌナが、可哀想だよ」
「仕方ないだろ。あいつが選んだ道なんだから」
ヒチョルがイトゥクの背をとんとんと撫でる。
「嫌んなったらあいつも逃げ出すだろ、な？」
「縁起でもないこと言うなよ」
「いいギャンブルだよ。賭けるもんがデカイほど、見返りもデカイからな」
「ヒチョルは好きそうだよね、そういうの」
多分ヒョンたちは、こうやって言い合いながら、互いの不安を支えあってきたんだろう。
そんな絆が少し羨ましくて。
やっぱり少し、落ち込んだ。
僕には無いものばかりだ。
フィアンセだって、偽者なのに。
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井上よじゃ(プロフ) - naoさん» え？！！全くの偶然です（笑）うわ、ちょっと鳥肌立ちました。こんなこと…あるんですねぇ（笑）よくあるお名前なんでしょうね？なんか、適当につけたんですけど←、結果ミラクルが起こって良かったです^^ (2013年6月21日 8時) (
レス) id: bdb29f79be (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - なつさん» そうなんです、これほとんどスピンオフなんですけど、前後にとぅぎを入れた関係で迷った末、こちらに組み込みましたｗあ、いえいえ、コメントありがとうございます♪今回もなつさんをたくさん幸せに出来ますように！ (2013年2月15日 14時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - まるでりょぎたんの短編のような・・でも、この章のお話がきっかけでお話が進んで行く感じ。わくわく♪（あ、コメするの遅れてごみんね^^;） (2013年2月15日 13時) (レス) id: 0ba9d9b5cb (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - りんごじゅーすさん» いえいえ、まだ公開したばかりですから。お待ちいただき嬉しいです！ありがとうございます！次章もよろしくお願いします♪ (2013年2月11日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - づうさん» 大変、大変ー！ｗ早かったですか。意外と今回手直しが少なかったので予想より早く公開出来ました。なんかすみませんｗ既に2章も開設しましたのでよければそちらで1番ノリを狙ってくださいｗ (2013年2月11日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：井上よじゃ
| 作成日時：2013年2月7日 15時
