42 ページ42
耳の近くで聞こえる掠れ声がリアルで。
いや、これ、現実だからリアルなの当たり前だけど、
だけど、わたし、先輩に抱きしめられてる。
「高校んとき、おれ屋上行くのやめたのに、探して追っかけてくるし」
「先輩に会いたくて」
「おれといたら意地悪されたでしょ」
「そんなの気になりません」
「こっちが気になるの！」
「迷惑でしたか？」
「…うん。忘れよーとしてんのに」
「え？」
「同じ大学に入ってきたからマジかって思った」
「迷惑…？」
「うん。同じ講義でも全然話しかけてこねーし。会っても知らん顔するし」
「…あれ？」
「おれのこと追っかけてきたんじゃねーのかよ、ってイライラしたり。ふふ」
「待って？」
「なのに同じ会社に入社してきて」
「先輩がいたから…」
「そう、急に先輩先輩って。四年間の冷却期間なんだったの」
「わたし寂しくて泣いたりしました」
「ハァ？なんでそんなことすんの」
「だって…」
「バカだな」
「だって…」
「A、バカ…」
「はい…」
先輩がわたしの髪に指を入れて頭をぎゅ、と右手で抱いた。
「いつだってAはみんなにニコニコして。みんなに可愛がられて」
「もう勘違いされるようなことはしませんよ」
「…そうして」
「いつだってわたし、大野先輩に振り向いてもらうことだけ考えてたのに」
「…そうかな、とは、思った」
「…はい」
「でも、そうかなと思ったらAは別の誰かに、可愛く笑いかけたり、してんの」
「え！可愛かった…？」
「うん…。もー…。そこじゃないでしょ…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あきさん3(プロフ) - すごくすごく面白かったです。キュンキュンしました。ありがとうございました！奈緒さんのほかの作品、読みに行ってきまーす！ (2015年7月24日 17時) (
レス) id: 892786136d (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - ebi信号さん» 長々とお待たせいたしました。更新を待って下さった方が納得できる終わりになったようで一安心です。ヤキモチも焼いてくれるかわいい先輩でおしまいです(笑) (2015年7月20日 0時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - チョコの件も面白かったけど、終わりかたがなんか好き。ふふと笑ってしまったわー。数ヶ月楽しませて頂きました。次回は黄色さま期待してまーす。 (2015年7月18日 20時) (レス) id: 76d9f58a12 (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - メロさん» 古事記のイザナギとイザナミってご存知ですか？2人が国を作るときにお互いを褒める言葉から借りました。お話とあんま関係ない(笑) 勿体無いお言葉ありがとうございます！調子に乗って頑張れます(笑) (2015年7月18日 11時) (レス) id: 5db05a964a (このIDを非表示/違反報告)
メロ(プロフ) - 奈緒さん» 返信、ありがとうございます。和風でとっても素敵です！作品巡り、大野さんメインのお話は全部読ませていただきました！全部素敵で、大好きです。お気に入り作者にも登録させていただきました。なぜ今まで読まなかったの！と自分に喝を入れたいです（笑）応援してます！ (2015年7月17日 0時) (レス) id: a21bbc6b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奈緒
| 作成日時：2015年4月10日 0時
