【Y.Katsuki】拗らせ少女の恋物語

Stage23 ページ25

Stage23

ヴィクトルの解説によると、彼はユーリ・プリセツキーという同じスケート選手らしい。名前は聞いたことはあるが、まだシニアデビューしてないこともあってAは顔を知らなかった。
ヴィクトルにロシアに戻って、自分にプログラムを作ってくれと訴えかける少年と不安そうにヴィクトルを見つめる勇利。そんな２人が驚愕するようなアイディアをヴィクトルは言い出すのだ。

｢一週間後に発表会をしよう！どちらが観客をビックリさせられるか勝負だ！｣

我ながらいい案だ、と自画自賛しているヴィクトルに対し2人は対照的な反応を示した。ヴィクトルが勝った方の言う事を聞く、という条件で乗り気になったユーリに対し勇利はしどろもどろになっていた。

｢でも一週間後ってAちゃんのライブの日じゃ……。｣

ここを貸切るんだよね？と勇利くんがこちらを振り返ると残りの２人もこっちをみた。しかし、Aの答えは即答だった。

｢別にいいよ。私のライブの前に滑って。｣

今度はロシア組のふたりがえっと呆気に取られる番だった。

｢いいのかい？｣
｢いいよ。今回は沢山の人に見て欲しいから座席指定じゃなくてインディーズの時みたいにフリースペースでやるから。｣

情報付け加えて拡散すればそのまま行けるよ、とアッサリと言ってみせるA。ヴィクトルはAの提案に頷いて、じゃあ決まりだねと言う。勇利の拒否権は発動されないまま、まとまってしまった。

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