第7話【駒王軍】 ページ8
さて、時は少し遡る。龍虎軍が確認した炎の先には。
「……ざっと10ぐらいはいけた、か?」
「にしても、義仲の火牛が成功するなんて珍しい。明日は雨かもな」
そんな会話を繰り広げているのは、男3人と女1人。全員、まだまだ「若人」という言葉が似合いそうな軍──源義仲が長を務める、駒王軍であった。
まだ入社して2年目の彼らは、「200」という数が如何ほどのものなのかまだよく理解できてきないようだ。
「それより。妖には思いやりとか、情けなんて感情はないのかな。もう仲間の屍を越えてきてる」
軍の紅一点である巴が指さした先には、先ほど義仲が燃やした妖たちの──同族の屍を無遠慮に踏み荒らしながらこちらに向かう妖の姿がある。
「あれば人間なんて襲わないんじゃねぇか? 知らないけど」
軍の最年長である兼光がそう言うや否や、本部からの放送が鳴り響く。
──迎え討て、と。
「……ってことは、とりあえず討伐すりゃいいって話か。そんじゃいつものように。頼むぞ、巴」
了解、と聞こえるか聞こえないかの声で返事した後、巴は武器である薙刀を構えつつ、1人で妖の群れへと突っ込んでいく。
いくら廻り人いえど、彼女らも人間。
人間、と認識した妖は、一斉に彼女に向かい手足を伸ばす。
「最後に教えて。あんたたちは、その手口で何人殺したの?」
底冷えのするような声で巴は呟き──妖に返事の暇さえ与えず、それらを薙ぎ払う。
この黒はいつ見ても不快だ、と感じると共に、思い出すのは──かつて妖に殺された友人の声、姿。
それらを振り払うかのように、巴は大胆かつ正確に薙刀を振るい──1本の道を作る。
そう、彼女の役目はあくまで道を作ること。
「よくやった。兼光、俺たちも続くぞ!」
そう言い、太刀を手に進むは義仲。もちろん長の言葉に従い、短刀を構えた兼光も彼らを追う。
先ほどの巴の進撃により、先ほどより動きの鈍くなった妖も、窮鼠猫を噛む、と言わんばかりの勢いを持った妖も、次々と彼らの刃へとかかっていく。
「……で、残った俺はいつものように後方支援、と。俺は巴のように妖にそこまで恨みがある訳じゃないが──仲間に手ぇ出すなら、殺すまで」
残された最後のメンバー、兼平はそう言いつつ弓に矢をつがえる。
──刹那。丁度義仲の首筋へと手を伸ばしていた妖の頭部を撃ち抜く。
「悪い、助かった!」
そう言う長に対し、それが俺の仕事だから、と兼平は次の矢をつがえる。
駒王軍、現在北東部制圧中。
──現在、優勢。
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スピカル@ulog出現率高め。(プロフ) - 更新させていただきます! (2017年7月16日 20時) (レス) id: f5a1a44351 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 終わりました! (2017年6月27日 16時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 更新します! (2017年6月27日 15時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 大変遅くなり、申し訳ございません!!終わりました! (2017年6月25日 20時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 更新します! (2017年6月24日 17時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨月 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/nikoakohor10/
作成日時:2017年6月19日 21時