妖破流転【小説】

第17話【島津豊久】 ページ18

「ついたぞ豊久！！」

と関の言葉を聞き、豊久は綱を下りてくる。その時、目を見開く。あの赤い妖……！！いてもたってもいられなくなり、豊久は飛び降りる。見事に着地をし、歳久の所に向かう。他にも軍がいたが目にも止めなかった。「歳久の叔父上！！」と叫ぶ。歳久も流石に驚いた。

「何故……いる！？……家久といたはず……どうした……？」

「ちっ、父上が！あ、赤い妖の大群に山本さんと菅野さんと一緒に……！！」

歳久は目を見開く、普段は現れない鳶色の淡い瞳が露になる。拳を握りしめる。

「武田殿……双眼鏡……お貸しください……」と借りた双眼鏡を覗く。確かに二つの機体と飛び回る人が見える。確かに家久だった。

「能力を……使っている……。10分持つか……！？」

「分かりません……ですが……！！」

歳久はまた無線機に応答を呼び掛ける。相手は土方だ。

「土方……今から家久の元に向かう……。援軍を……」

頼めるか、と確認しようとした。だが無線機を奪われた、奪ったのは源義仲であった。

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