第14話【駒王軍】 ページ15
「おい、休んでろって言ったろ!なんでいる」
「いやー、俺らまだ若いもんで。体力が有り余ってるんだよ」
そう信玄と兼光は笑いながら会話を続ける。
もちろん、その合間にも着々と妖は屠っている訳だが。
現在北東部には、駒王軍、天塩軍、龍虎軍、更には島津歳久……と、いくら相手が多勢とはいえ、戦局を有利に進めるには十分な戦力が集まっていた。
「もうそろそろ『鶴翼之囲』の一翼に当たる部分をむしれるのですかね?」
前線から逃亡しようとする妖達を次々と射抜く兼平の横でそう呟いたのは、天塩軍の治癒要員である片岡源五右衛門であった。
何のことはない、というような雰囲気でそう言う片岡に半ば呆れつつ、そうだなと兼平は返す。
一通りの妖は仕留め、少し手を休め戦局を見守る。
そして感じるのは、強さ。もちろん天塩軍、龍虎軍の強さはもとより知っていたが──東洋から来たという、島津歳久という男。
目を離すまいと見つめていても、気づけばあちらこちらへと移動し──その彼が移動した先に残るは妖の死体のみだ。
そのうち外海に渡って見聞を広げるのも手か、と兼平は思案を始めていた。
その頃、最前線では。
「おいおい、あいつらは何だ?」
そう言いながら義仲が指さした先には、先ほどまで見ていた大群に比べれば少ないものの、それなりな量の妖がいた。
それだけならば、彼はそんな発言はしない。
「……色が、赤か。話に聞いていたことはあったが……気ぃ引き締めてかかれよ。あと、誰か本部に連絡しろ」
信玄が先ほどとは打って変わった慎重な様子で話す。
鶴翼之囲の、中心部に当たる場所まで快進撃を続けていた彼らだったが、そこには──信玄の言う通り、数体『赤い』妖がいた。
本来、妖とは黒一色。しかし斬ったときに吹き出す血は人間と同じ赤、というのが特徴である。
しかし、今彼らが目前にいるは──赤い、もっと詳しく言うのならば血染め色の妖であった。
その光景は、黒に埋め尽くされていた先ほどの光景より遥かに異質。
幸い、と言っていいのかどうか分からないが妖たちはまだこちらを認識していないようだ。
歳久がすっと無線を取り出し、本部に繋げる。
『はーい、こちら本部。何かあった?』
出たのはどうやら玉菊のようだ。
歳久は淡々と続ける。
「歳久、並びに駒王、天塩、龍虎軍連合……現在、おそらく中心部……赤い妖を発見……取り急ぎ、情報を」
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スピカル@ulog出現率高め。(プロフ) - 更新させていただきます! (2017年7月16日 20時) (レス) id: f5a1a44351 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 終わりました! (2017年6月27日 16時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 更新します! (2017年6月27日 15時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 大変遅くなり、申し訳ございません!!終わりました! (2017年6月25日 20時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 更新します! (2017年6月24日 17時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨月 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/nikoakohor10/
作成日時:2017年6月19日 21時