第13話【龍虎軍】 ページ14
「なあ、龍虎軍はいつ来るんだ?」
義仲が短刀を振り回しつつ、ふと頭に浮かんだ疑問を口に出した。
「そういえば、姿が見当たらないな」
「連絡は何も来てないけど……?」
兼光と巴が、義仲の右と左から同時に答える。
「もしかして、何かあったのか……!?」
脇差しで目の前に迫り来た妖の腕を切り払いつつ、天塩軍の浅野が不安を隠しきれない様子で呟く。
戦闘が始まってかれこれもう、一時間が経過する。
なのに、最初に陣地へ辿り着いていた龍虎軍が、未だに戦場に現れない。
しかも連絡さえ入っていない。
明らかにおかしな事態に義仲は一瞬、戦闘中だということを忘れた。
「危ない!」
巴の薙刀が、ぼうっとしていた義仲の頭上に伸びて来た妖の腕を凪ぎ払った。
……いや、凪ぎ払おうとした。
しかし巴の薙刀が届く前に、別の白銀の光がそれを一閃していた。
はっと二人が同時に後ろを振り返ると。
「すまない、遅くなった」
今、彼等が心配していた当人たちが立っていた。
「上杉さん!武田さん!今までいったいどこにいらしたんですか!?」
「いやぁ、北部へ移動してきていた妖の撃退していたもので」
信玄と謙信のもとへ、駒王軍の三人が走ってくる。
安全な地帯へ移動すると、頭をぽりぽり掻きながら、言いにくそうに信玄がそう答えた。
すると謙信が、恐る恐る信玄に声をかける。
「もしや……もしやですけど、長、連絡を怠ったわけではありませんよね?」
「あの、いやぁ。すまなかった」
謙信の訝る様な目線から逃れるように、信玄は大太刀の鯉口を切る。
「君達、もうすぐここの戦闘は終わりそうだし、残りは我々が片付けて置こう。休んでくれても大丈夫だぞ」
呆れて口をパクパクさせる謙信を横目で見ながら話を変えた信玄は、答えも聞かずにさっさと妖の群れの前線へと駆けて行ってしまった。
「ちょ、ちょっと長!ああもう!」
残された謙信も、慌てて信玄の後を追った。
信玄には後でたっぷりとお説教をするのだろう。
後に残された駒王軍の面子。
「……まだ行けるよな」
ぼそりと義仲が呟いた。
確かに疲れては来たが、まだまだ全然戦える。
「戻ろうか」
笑顔で巴が二人を振り返った。
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スピカル@ulog出現率高め。(プロフ) - 更新させていただきます! (2017年7月16日 20時) (レス) id: f5a1a44351 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 終わりました! (2017年6月27日 16時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 更新します! (2017年6月27日 15時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 大変遅くなり、申し訳ございません!!終わりました! (2017年6月25日 20時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 更新します! (2017年6月24日 17時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨月 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/nikoakohor10/
作成日時:2017年6月19日 21時