第10話【島津義久】 ページ11
「鶴翼之囲……だが、矢張り関係無いか」と熱い額を押さえながら、布団に横たわる。体は怠く思うように動かない、何とか動こうとするが矢張り倒れてしまう。これだから副作用は嫌いなんだ、とふてぶてしく笑う。今さっき弟たちは戦場へと飛び立った。その数分前に彼ら、“島津隼人軍”が到着した。着くやいなやその数に驚いてしまったのだが、動じることはない。かつて三年前にもあったこと、其ほど記憶は古くない、今の知識を使えば容易なものだった。
「義久さん」と、部屋に入ってきたのは玉菊だった。薩摩隼人軍を呼び、副作用を承知の上で能力、見抜きをお願いされた。玉菊は額の布を水に浸し、義久の額においた。その顔は申し訳なさそうに眉を下げている。
「ごめん、副作用がこんなときなのに出ちゃって……」
「何、気にするな。戦場において軍師は必要不可欠、指揮するものが居なかったらどうする」
「その通りだ」とノックもせずに入ってきたのは、土方であった。片手には通信機を携えている。
「申し訳ない、俺一人では手に終えなかったかもしれん」
「何、土方の戦略は喧嘩しか出来ぬ。だが妖にはきく、其に付け足しただけだ」
気にするな、と笑う。土方はそれだけで肩の荷が降りた。だがまだ、気は抜けない。緊張感を持たなければ。
「義久、辛いとこ悪いが“全域放送”を頼む。東洋に赴いている軍はあまり知られていない。が、御前達の藩は知られているか」
「おい、藩に戻っているぞ。まぁいい、どれ、貸せ」
「日本の討伐軍の皆様、初めまして。東洋に赴いている島津隼人軍が長、島津義久だ。非常に遅い到着ではあるが、妖の討伐に参加させて頂く。今各軍に、我が親類を派遣した。遅れをとるつもりも、取らすつもりもない。存分に使ってくれていい、一応だが妖の陣は鶴翼之囲に似ている。それを駆使して、戦ってくれ。
無事を願う」
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スピカル@ulog出現率高め。(プロフ) - 更新させていただきます! (2017年7月16日 20時) (レス) id: f5a1a44351 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 終わりました! (2017年6月27日 16時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
哀の戦騎(プロフ) - 更新します! (2017年6月27日 15時) (レス) id: 6ae72a29d5 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 大変遅くなり、申し訳ございません!!終わりました! (2017年6月25日 20時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ@お絵描きはまった(プロフ) - 更新します! (2017年6月24日 17時) (レス) id: 78e8420888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨月 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/nikoakohor10/
作成日時:2017年6月19日 21時