■１０■Go for it! ページ10
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目が覚めたら既にAの姿がなくて
一人には少し広すぎるベッドを持て余していた
"睡眠は大事だからね"
なんて言いながら選んでくれたシーツの肌触りが良すぎて逆に寂しさを増す
せっかくのオフなのに一人か……
きっとAは俺が今日休みなことも覚えてないんだろうな
ゴロゴロと転がってベッドの端まで行き
またゴロゴロと戻ってくる
何時もAが寝ているスペースをそっと手で撫でる
もう温もりなんか残ってないのに
ダメだ
俺、このままじゃ本格的にダメになる
健全な肉体に健全な精神は宿る
なんて青臭い事いう気は無いけど
こんな風にだらだらしながら悶々としてたら良い事も悪くなっちゃいそうだ
よいしょっと景気よく掛け声を上げて起き上がる
シーツを引っぺがし洗濯を始めた
ベランダを見ると既に通常の洗濯物が干されてて
風に翻弄されて棚引いている
Aが洗濯してくれたんだろうな
忙しいのに…
爽やかな朝日を受けて棚引く洗濯物の姿に少しだけ心が洗われる
「よっしゃ！徹底的にやるぞ！」
エンジンさえかかればこっちのもんだ
床に散らばったあれやこれやをリズム良く拾い上げ片付けていく
忙しいと直ぐ床に物が散らばるからね
鼻歌を歌いながら掃除機を掛けてたらいい感じに汗もかいて
シャワー浴びたら買い物でも行くかな
久しぶりにジムも行きたいし
いつの間にかそんな事考える余裕まで出来ていた
体を動かしてたらモヤモヤした気持ちが少しだけ晴れる
元々自分の世話をするのは嫌いじゃない
今はAのためにもなるから尚の事
今夜は一緒に飯でも食えたらいいんだけどな
買い物ついでに寄ってみるか
頭の片隅に居座る不安の塊をなんとか押さえ込んで
明るい歌を鼻歌で歌いながら
とにかく楽しい事を考えるよう努めてた
それしか今出来ることが考え付かなかったから
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作者名：YOH
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/yoh_list/
作成日時：2014年9月1日 14時
