KISS ME BABY【0830BD企画/J.M】 (ページ9)

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■０９■魔法の言葉？ページ9

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"飯でもいく？"

しけた顔してた俺に呆れるように笑う

この男に誘われること自体珍しいのだから

俺は相当"イケテ無い"ツラしてたんだろう

『あー潤くん、それだめだわ。アウトだわ』

そう言ってパスタを美味そうに頬張った

俺は分かってたことを言葉にされてしまい食欲も失せてしまう

目の前に置かれたパスタを口に運ぶ気にもなれない

"とにかく食いなよ、俺のおごりじゃないけどさ"

なんて促され、分ってるよと思いながらしぶしぶ一口、口に運んだ

『一番やっちゃダメなパターンじゃん』

「それはそうだけどさ…じゃあニノならどうする？」

『俺？…何もしない…かな』

「まじかよ……」

『まだ浮気って決まったわけじゃないんでしょ？だったら悶々と足掻くだけ時間の無駄じゃん』

「まあ…そうだな……」

突きつけるようにフォークの切っ先を俺に向ける

『それにさ、本当に浮気だったらどうするの？』

頬杖をついて探るように上目遣いで俺の瞳を覗き込んで笑う

『それとも浮気じゃなくて本気だったら…とか？』

まさか

そんなはず

『女なんて分んないよー』

「…体験談？」

『その辺はノーコメントってことで』

「なんだよそれ」

『俺んとこだって問題の一つや二つあるんですよっ』

嘘付け

俺の所に負けないぐらい色々あった挙句にラブラブじゃんかよ

『とにかく』

『焦りは禁物だよ』

焦った挙句に墓穴を掘った俺にそのアドバイスは無意味だと思わないか？

『でもなあ…Aちゃんに限ってそんな事無いと思うんだけどね』

ぼそりと呟かれた言葉

ニノがそんな事言うなんて思っても見なかったから無意識に手が止まる

「…なんで…そう思うわけ？」

ミネラルウォーターの入ったグラスに照明が反射してきらりと光る

ニノはくるくるとグラスを回しながら揺れる液体を眺めてタバコをふかした

『さあ？』

「さあって…」

『なんとなく、だよ』

それだけ言って何時もの含み笑い

もうこれ以上聞いても何も答えないのだろう

俺は仕方なく目の前のパスタを平らげることに集中した

"なんとなく"

ニノのこれは中々当たるんだけど

今回ばかりはどうもその言葉が俺の中に響かない

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