■１３■シンプルな想い ページ13
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智くんと別れ適当なカフェに入りぼんやりと外を眺めていた
本当は連載の原稿を書かなきゃいけないんだけどそんな気になるはずも無く
さっき飲んだばかりで飲めるはずのないオレンジジュースのグラスに水滴が滲み出す
木々から零れる日差しが眩しい歩道を楽しそうに歩いていくカップル
犬の散歩をしている老夫婦が手を繋いでる
今ココにいる人の中で俺が一番不幸だな
そんな馬鹿なことを考えながら憂う
小さく溜息を一つ
本当、俺ってバカ、バカバカバカ
バカすぎて笑えてくるよ
んな訳ないじゃん
もっともっとツライ想いしてる人も苦しい想いしてる人も山ほど居るよ
本当、俺ってバカだわ
"現実は何気にシンプルだったりするんだよ"
智くんの言葉が頭を過ぎる
そうかもな
その通りかもしんないね
なんて聞こう
とりあえず下着の事は後だな
それは今じゃないな、うん
"あの夜見かけたんだけど一緒に居た人誰？"
いやこれじゃないな
"こないだ遅かった日、どこ行ってたの？"
あからさますぎるな…
"現実は何気にシンプルだったりするんだよ"
また智くんの言葉が頭を過ぎる
ストローに口をつけ少しだけオレンジジュースを口に含み
飲み干したと同時に"うーーーん"と大きく伸びをした
そろそろ日が暮れる
夕焼けに染まる景色がきれいで、一人で見るのが勿体ないなって思った
どうせなら
一緒に
スマホを手に取り静かにメッセージを書き始める
知りたいのは一つ
"俺の事、今でも好きですか？"
それだけじゃん
"近くにいるので今から会いに行ってもいい？"
メールにそう書いて送信ボタンを押した
ワガママなやつでごめん
こんなの迷惑だよな
俺もそう思う
だけど会いたいんだ
スマホをポケットに押し込んで伝票持ち席を立った
今のところメッセージの返信は無い
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作者名：YOH
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/yoh_list/
作成日時：2014年9月1日 14時
