日常84 修羅場 ページ3
「あれ、何ですか?」
少女はシユウに聞く。
シユウによると、あのお客さんはこのお店でブラックリストに入っている方らしい。
ホストとは、お客さんとして来た女性につくし、一晩の夢を与える仕事である。
勿論、本当の恋に発展することもないことはないが少ないケースである。それを承知でただ楽しみに着ているお客さんが多いだろうが、たまにいるのだ。
<ホストに本気になる女>が。
今騒いでいるお客さんは、その一人である。
一二三に本気で恋をしてしまい、妄想と現実の区別がつかなくなってしまったらしい。
お店を出禁にしても良いのだが、一二三の希望で出禁にはしていない。
「どうして!?今日、指名したのに…何で無理なのよ!!」
「ごめんね、子猫ちゃん。今日はこちらの子猫ちゃんが予約を…」
「言い訳なんて聞きたくない!」
女はヒステリックに喚き散らす。
一二三を指名していた女性は、恐ろしくなって席を立ち、逃げていく。
「でも、僕はホストなんだ…」
「一二三の仕事は理解しているつもりよ。でも、だからって私たちの恋を邪魔する人を私は許せないのよ!」
「彼女たちも大切なお客さんなんだ。」
一二三の言葉を聞かず、騒ぎ立てる女。
今日はいつもより酷いのか、周りのホストも焦っている。
「これ、やばくないですか?」
「…やばいね。」
その時、
「私の物じゃない一二三何ていらない!!」
と、女がテーブルにあったまだお酒の入っているフルートグラスを持ち振りかぶった。
一二三は受け止めるつもりなのか、目を閉じて静かに立っている。
パリん ガッシャン!
グラスが人に当たり割れる音と、割れたガラスが床に落ちる音が店内に響く。
「…ど、どうして。」
「うっわ。酒くさ。」
一二三は目を見開く。
一二三の前では少女が守るように立っていた。
腕にはガラスで切れたのか血が出ている所が数か所あり、頭から上半身にかけて酒に濡れている。
絢子とシユウは突然飛び出した少女を止められず、今慌てて駆け寄る。
「ちょっと!A!」
「Aちゃん!」
「ジュンちゃん、シユウさん、ごめんなさい。」
少女は絢子とシユウを押しのけて、女の前に立つ。
「どちら様かわかりませんけど、これ、営業妨害ですよ。」
「そんなの!あなたに関係ないじゃない!」
「ソウデスネ。でも、見ててとても不愉快でした。」
「んな…」
「あと…」
少女は女を睨みつけて一言放つ。
「一二三さんは<もの>じゃないんですよね。」
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大阪の女 - Stellaが良すぎましたありがとうございました (2023年3月29日 9時) (レス) @page29 id: f50a0ac3bb (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^)芋けんぴさんの作品楽しく見させていただいてます。話の続きも是非読ませていただきたいです。 (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^) (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - ねむさん» ねむ様、コメント及びご指摘をありがとうございます。完全なる打ち間違えです…。そのせいで寂雷さんが凄くネガティブな人になってました…。現在、訂正させていただいています。意味までご丁寧に教えていただき勉強になりました。改めてありがとうございました。 (2021年7月19日 15時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ(プロフ) - 日常107出発のmourningは悲嘆,哀悼 、哀悼の意を表すこと、喪服,喪章という意味(コピペ)ですよ。朝はmorningです。 (2021年7月19日 9時) (レス) id: 2b048548d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年8月3日 20時