日常68 456登場 ページ34
「そういえば、一二三さんはホストじゃないんですか？」
ジャケットも受け取り、落ち着いたころ
少女が疑問に思っていたことをぶつける。
ステージ上には女の子に怯えることはおろか、「子猫ちゃん」などと言ってファンサをしていた目の前の男は、今、少女に怯え震えている。
「…えっと、スーツ。」
「？」
「あぁ、こいつはなスーツのジャケットを着ると人格が変わるんだよ。見た方が早い。一二三、ジャケット着てみろよ。」
一二三に代わって独歩が説明し、一二三にジャケットを着るよう促す。
一二三はジャケットを羽織ると
「やぁ。先ほどから失礼な態度ですまなかったね。」
「は？」
ちゅっ…
一二三は少女に近づきその手を取り、口づけを落とした。
少女は何が起こったのか理解が出来ず、ポカンとしている。
「あああ、一二三！Aが固まってるだろ！」
「…は！何が、え？だ、女の人が苦手って、え？」
「おや、困らせてしまったようだね。」
怒る独歩と、混乱する少女。それを見て楽しそうに笑う一二三と寂雷。
収集が付かない。
「簡単に説明するとね、一二三君はジャケットを着ることにより、女性と話せるようになるんだよ。」
「…はぁ。何か、差が凄いですね。」
「ははは。」
「でも、そうなら最初からジャケットを着ていれば、怖い思いをして私にジャケットを返さなくても良かったのでは？」
少女はここでまた疑問が増える。
女の人への対策があるのなら、それをしていれば先ほど怖い思いをしてまで自分と話す必要はなかったのではないか。
そう思うのは当然である。
「君はとても優しい人だったから、ちゃんと本当の自分で感謝の言葉を伝えたかったんだ。」
「？それもあなたでしょう？」
「うん。そうなんだけどね。どうしてか、君には僕じゃなくて俺を見てほしかったんだ。」
一二三は女の人は怖いものだと思っていた。
ジゴロになれば平気なのに、一二三になるとどうしても怖くて仕方がなかった。
しかし、この少女は怯える自分にイラつきを見せず、ジャケットを貸してくれた。見ず知らずの自分に。
この少女には、ジゴロでは無く一二三を見てほしいと思ったし、一二三として会話をしてみたいと思ったのだ。
「わかりました。一二三さん、ジャケット脱げます？」
少女は一二三の気持ちを聞き、少し距離を開けてから一二三にジャケットを脱ぐように促した。
一二三は恐る恐るジャケットを脱いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 544人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです！気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (
レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは！すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで！)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて！ (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません（笑）無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芋けんぴ | 作成日時：2020年7月14日 22時
