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日常67 感謝と勇気 ページ33

「ただいま〜。」

少女はイケブクロの控室に帰ってきた。
一郎にどこに言っていたのか聞かれたが、少女ははぐらかしておいた。
朝の喧嘩っぷりを見るに、言わないほうがいいだろう。

「あ、そういえばA、独歩が探してたぞ。」

「独歩さんが?」

二郎に言われ、少女は独歩探しの旅に出る。


「あ、いた!A。」

「あ!独歩さん。」

シンジュクの控室を目指し、歩くこと10分。
独歩と会えた少女は何の用事か聞く。

「あぁ、Aに会わせたいやつがいるんだ。控室に来てもらっても良いか?」

「良いですよー。」

少女は独歩についていき、シンジュクの控室に入る。

「おや、Aさん。待っていたよ。」

「寂雷さん!優勝おめでとうございます。」

控室の中には寂雷がいて、少女を出迎える。

「それで、私に会わせたい人とは?」

「一二三。連れてきたぞ。この子だろ?」

「…う、うん。ありがとう独歩ちん。」

「あ、この前の金髪さん。」

部屋の死角から、金髪の男、一二三が出てきた。
彼は震えており、顔色も悪い。ステージでは堂々としていたのだが、どうしてだろうと少女は疑問に思う。

「こいつだよ。」

「は、初めまして。…いっ伊弉冉一二三と言います…。」

「初めまして。乾Aと申します。」

5メートルほどの間隔をあけ、お互いに自己紹介をする二人。
一二三はずっと震えている。

「あの〜、彼、女の人が苦手なんですよね?私に紹介しても良いんですか?」

「あぁ。あいつが会いたいって。」

少女は独歩にこそこそ聞く。
なぜ、恐怖の対象の女である自分に会いたいと思ったのだろうか。
少女は疑問に思う。

「あ、あの…ジャケットを。」

「あ!ジャケット!」

「か、返したくて。ちゃんと!自分で!」

何て真っすぐな人なのだろうか。
怖いはずなのに、少女にジャケットを返すために呼んだのだ。

「ありがとうございます。そちらによっても?」

「えっと、はい。」

少女はできるだけ怖がらせないよう、ゆっくりと近づく。
ようやくジャケットを手渡しできる距離まで詰め、少女は止まった。

「ほら、一二三。」

「う、うん。えっと乾さんのおかげで、とても助かりました。あ、ありがとう。」

「はい。大丈夫で良かったです。私こそ返していただいてありがとうございます。」

少女は笑顔でゆっくり受け取った。

その様子を寂雷と独歩は優しく見守るのだった。

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芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです!気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは!すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで!)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて! (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません(笑)無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年7月14日 22時

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