日常52 スパダリ ページ18
「うわっ。」
「おっと。」
イケブクロの控室に急ぐため走っていた少女は曲がり角で男にぶつかる。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない。貴殿は?」
「おかげさまで大丈夫です。」
ぶつかった拍子に少女がよろけたのを男が支えたため、少女は足もひねらず、無傷であった。
「急いでいるからって走ったら危ないですよね…ごめんなさい。」
「そうだな。だが、貴殿に怪我が無いのなら良かった。」
「スパダリかよ。」
少女はあまりにも紳士的なこの男に感激する。
心なしか柑橘系のすっきりとした香りがこの男からする気がする。
「あ、すみません。いつまでも支えてもらって。」
「いや、問題ない。」
ここで少女はようやくこの男から離れる。
「おう、理鶯。ここにいたか。」
「まったく、探しましたよ。」
そこで聞き覚えのある声が二つ聞こえた。
「あれ?入間さんと碧棺さん?」
「おや、Aさんではないですか。お久しぶりです。」
「おう。お前か。」
「左馬刻、銃兎。この少女と知り合いなのか?」
どうやら左馬刻と銃兎からは理鶯に隠れていて少女が見えていなかったようだ。
二人の声に反応した少女が理鶯の陰からひょっこり出てきたのを見て二人は少し和んでいた。
「この方がこの前お話ししたAさんですよ。」
「成程。貴殿が少女ソルジャーか。」
どうやらこの理鶯と呼ばれた男、左馬刻から男五人を体術で倒した少女がいたと聞き、この少女に興味を持っていたらしい。
心なしか先ほどよりもキラキラした瞳で少女を見ていた。
「自己紹介が遅れてすまない。小官は毒島メイソン理鶯だ。よろしく頼む。」
「私は乾Aといいます。」
「Aだな。」
少女と理鶯は挨拶をすまし、今度会う約束を交わす。
そして少女が急いでいたという事で解散の流れに。
「おう、目ん玉かっぴらいて俺様の活躍を見てろや。」
「え、私イケブクロの応援できたんで…敵を応援するわけには。」
「あぁ!?てめ、一郎のクソダボの応援すんのかよ。」
「はい。なので、今回は応援しませんよ。まぁ、試合はがっつり見ますけど。」
「っち。ぜってぇ勝つから見てろよ。」
「勝つのはイケブクロですよ。」
少女と左馬刻はお互いに張り合った後、少し険悪な雰囲気で別れた。
しかし、銃兎からしたら、一郎の名前が出るだけで大暴れな左馬刻がここまで静かに対応したのは、正直驚きなのであった。
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芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです!気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは!すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで!)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて! (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません(笑)無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年7月14日 22時