日常22.5 表 ページ28
「一郎!一郎!一郎!」
少女が山田家のリビングにハイテンションで現れる。
「どうした?A。」
「明日友達の家にお泊り行っていい?」
「いいぞ。」
一郎は内心、少女が明日の夜にいないことに寂しいと感じながらも、少女があまりにも嬉しそうに許可を求めてくるので承諾するしかなかった。
「あれ、もしかして寂しい?」
「まぁ、少しな。」
「えー、素直。からかいがいがないなぁ。」
と言いながらも自分がいないと寂しいと素直に言ってくれる存在がいることが嬉しくないはずがなく、少女は隠そうとしてもにやける。
そして
「しょうがないなぁ。」
「うわ!」
少女はソファーに座る一郎に後ろから飛びつき
「素直ないい子にはこうだ!」
「うわ、ちょ、おい!」
一郎の頭をこれでもかと撫でまわし、抱きしめる。
一郎は予想外の少女の行動に顔が赤くなるが、少女からは見えていない。
「兄ちゃん!どうしたの!?」
「一兄!何事ですか!?」
どうやら、先ほどの一郎の声に反応して一郎セコムが発動したらしく、二郎と三郎が心配してリビングに来た。
「おいA!兄ちゃんに何してるんだよ!」
「そうですよ!」
「えー、楽しかったのに。」
少女は彼らが一郎セコムだと知っているのでしぶしぶといった感じで離れる。…がしかし忘れてはいけない。
「嫉妬しなくても二郎にもやってやるぞー。」
少女は一郎の件でお咎めが来る前に二郎に飛びつく。まだ短い間とはいえ、三日も暮らしていると話のそらし方も少女は熟知している。
「うわっ。…。」
二郎が異性に弱いことを利用して黙らせることは簡単だ。
「あら、二郎ちゃん照れてるの?耳まで真っ赤で可愛いわね〜。」
「お前はどこぞのおばさんだよ!」
えー、失礼。ぴちぴちの19歳よ。と少女は真顔で言いながら二郎が怒る前に離れる。こういった引き際もわかっているあたり流石としか言いようがない。
しかし、この状況に不満を持った人が一人いる。
二人の兄が可愛がられている中、自分だけ何もされていない三郎だ。
三郎は少女の上着の裾を引く。
「ん?どしたの、三郎。」
「…僕は可愛くないですか。」
そっぽ向きながら言う三郎。少女よりもはるかに身長が高いがそんなことは知らない。
「もちろん、可愛いに決まってる!」
少女は三郎にこれでもかというほど勢いよく飛びつき、可愛い可愛い三男を愛でるのだった。
「マジで、可愛すぎてハゲるかと思った。」とのちに少女は語る。
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いもけんぴ(プロフ) - レイルさん» レイル様、コメントありがとうございます!そうです…そのまさかです…(笑) ありがとうございます!とても嬉しいです! (2023年1月31日 5時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
レイル(プロフ) - 文豪のやつって、、、!まさか、、、!!((この小説面白くて大好きです!応援してます!! (2022年12月15日 20時) (レス) @page48 id: 738b0dd677 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 詩音さん» そう言っていただけてとても嬉しいです。これからも乾をよろしくお願いします! (2020年7月10日 19時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - え…なんですかこれ…好きです…主人公のテンションが可愛いですね!!!!更新楽しみにしております!!!! (2020年7月10日 15時) (レス) id: e70b445cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年7月7日 17時