日常11 甘え ページ12
「だから、私にはたくさん甘えてもいいよ。」
「え？」
「今のままじゃいつか潰れちゃいそうだから。」
一郎はいまだに混乱しているが少女はそれを気にも留めず、一郎に近づく。
「え、あの、Aさん？」
少女は左手で一郎の頭を無言で撫でまわした。
「これはお母さんからの言葉だけどね」
「お、おう。」
「疲れたら休んで良いし、誰かに寄りかかってもいいんだよ。だって私たちは若いし、人生はまだまだ続く。ちょっと休むぐらいがちょうどいいんだよ。」
「…」
「まあ、あれだよ。人生何とかなるさ。」
少女はそれだけ言うと一郎を見て笑った。
「…手当、終わったぜ。」
「ありがとう。めっちゃ綺麗に巻けてる！」
「A」
「んー？」
「少しだけ」
一郎は緊張した様子で少女の事を見る。
「少しだけ、寄りかかってもいいか？」
一郎の発言を受け少女は
「少しとは言わずに、いつでも好きなだけどうぞ？」
やはり、微笑んで両腕を広げた。
「すまねぇ。」
一郎は少し控えめに少女の左肩に顔を預け、正面からもたれかかる。
「そこはありがとうでしょ。」
少女はそう言うと、一郎の頭を撫で繰り回した。
彼らは何分ほどこの状態で会話をしていただろうか。
一郎は、先ほどより少しすっきりとした表情で顔を上げた。
「これからよろしくな。」
「こちらこそよろしく。」
彼らはお互いに微笑み合うと
「あ、お茶入れるから今から少し話そうぜ。」
「あ、そうだ、私も今後の話がしたい。」
テーブルがあるほうに同時に移動し始めた。
「はい、お茶な。」
「ありがとう。」
一郎は入れたお茶を持ち少女の正面に腰かけた。
「一郎」
「何だ？」
「これから長い間お世話になると思うんだけどさ、契約とかどうする？」
「は？」
「いや、流石にただで住まわせてもらうほど図々しくないよ！？私！」
「え、いや、俺は別にいいんだが…」
「いや、私が良くないからね！？」
本当に良いのに…
などと思っている一郎を置き去りに、少女は一月分の家賃を決めていく。
「3.5万は最低でも払いたい…いや、やはり４万…」
「いらねぇから！」
「は！？申し訳ないでしょ！？」
「じゃ、じゃあ！」
「？」
「いらない代わりに、たまにでいいから萬屋の手伝いをしてくれないか？」
「え、そんなん勿論いいよ。」
「じゃあ、それでよろしく頼む。」
こうして、少女の非常勤萬屋勤務とともに、山田家との生活がスタートした。
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いもけんぴ(プロフ) - レイルさん» レイル様、コメントありがとうございます！そうです…そのまさかです…(笑) ありがとうございます！とても嬉しいです！ (2023年1月31日 5時) (
レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
レイル(プロフ) - 文豪のやつって、、、！まさか、、、！！((この小説面白くて大好きです！応援してます！！ (2022年12月15日 20時) (レス) @page48 id: 738b0dd677 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 詩音さん» そう言っていただけてとても嬉しいです。これからも乾をよろしくお願いします！ (2020年7月10日 19時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - え…なんですかこれ…好きです…主人公のテンションが可愛いですね!!!!更新楽しみにしております!!!! (2020年7月10日 15時) (レス) id: e70b445cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芋けんぴ | 作成日時：2020年7月7日 17時
