小百合篇 ページ3
芽衣子ちゃんは、私の好きな人です。
何よりも、誰よりも。この世界の中で一番好きなんです。それが何にも代え難い事実だということは私が一番わかっているので、君らの薄い共感なんていらないです。
私のその好意は到底世間に許されるものではないと十分理解していました。
禁断。
反社会的思想。
母様と父様がそう言って許しませんでしたから、そうなのです。
大庭葉蔵にとっての世間が個人であったように、私にとっての世間があの二人であるのは、何らおかしなことではないのです。分かるでしょう。
……それに。芽衣子ちゃんも私からの好意を良く思っていないことなど分かりきっていたものでした。
芽衣子ちゃんったら、私の愛を隠しきれない視線を無視するんです。逸らすんです。
私の愛を隠しきれないスキンシップを拒否するんです。拒絶するんです。
友愛は許すのに恋愛は許さないなんて、何ででしょう。どちらも愛じゃないですか。
彼女の過去に一体何があったのでしょう。芽衣子ちゃんをそうさせた原因があるのなら、私は──。
否、皆様が想像なされたような事など死んでもしません。
たかが私め一人の為に誰かを傷付けるなんてそんな恐ろしいこと、出来ませんし。
恋は盲目なんて、馬鹿じゃないかしら。芽衣子ちゃんに醜いところなんて私が恋する前からありませんでしたし、やって良いことと悪いことの区別くらい付きますもの。
芽衣子ちゃん。私の生きる意味。私のイデア。
愛しいね、ねぇ芽衣子ちゃん。本当に愛しい。
学校の朝休み、そんな風景の夢を見ました。
私は私を俯瞰して見ていましたので、直ぐに夢だと理解できました。
夢の中で、私はいませんでした。忘れ去られていたのです。いや、私は確かにいたのですが、まるで透明人間にでもなったかのように皆に無視されるのです。
悲しいかな、そこに私の席はあったのですが。
頼みの綱は芽衣子ちゃんでした。
何故頼みの綱かと言われれば、私が彼女を好いているだけであって、彼女が私に何か特別な感情を抱いているかと問われるときっと彼女は、目を伏せて一言、「ただの友だちだから」と言うのだと思います。
それが芽衣子ちゃんですから、寂しくなんかありません。だって、私が何れだけ芽衣子ちゃんを好いていようと、言わなければ無いと同じですから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
与田 茜(プロフ) - マナさん» 文章ですか、今見返すとかなり荒削りな文章ですから、なんだか恥ずかしい気もしますが……ここは潔くお褒めの言葉を受け取らせていただきますね(笑)羨ましいとも面白いとも、言われるだけで天狗になってしまいそうです……！！閲覧にコメント、ありがとうございました！ (2019年7月29日 21時) (
レス) id: 35915b1fe0 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - とても面白かったです！文章も上手だし、本当に羨ましいです笑 (2019年7月29日 14時) (レス) id: 6780f1cbe2 (このIDを非表示/違反報告)
与田 茜(プロフ) - バンビーさん» いやいやそんな、私には面白いの一言だけでも十分なのです……(確かにもっと沢山の人に見てもらいたい気もしますけれど、傲慢と言われそうなので心の中に秘めておくことにします)閲覧にコメント、ありがとうございました！ (2019年7月16日 23時) (レス) id: 35915b1fe0 (このIDを非表示/違反報告)
バンビー - もっと評価されるべき作品な気がします！とても面白かったです！ (2019年7月16日 22時) (レス) id: ff85299768 (このIDを非表示/違反報告)
与田 茜(プロフ) - ここ。さん» 語彙力たっぷりに褒めちぎって頂けて、感激の極みでごさいます！結ばれずに終了、だけでは小百合も可哀想ですので、それとなく幸せを醸し出したのがいい方向に転がってくれて良かったと一安心です(笑)次回作にも力が入ります！閲覧にコメント、ありがとうございました！ (2019年7月16日 14時) (レス) id: 35915b1fe0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：与田 茜 | 作成日時：2019年7月4日 6時
