夢先のキンセンカ２ ars (ページ15)

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夜明けを灯す２ページ15

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「…ねえ。どう思う？」

徐々に遠ざかっていく二宮の家をサイドミラー越しに見つめて雅紀が問いかけた。

櫻井が運転する車に乗った相葉は、空気がしぼんだようにさっきまでの弾けるような明るさはなりをひそめて、考え込んでいた。それは櫻井も同じだった。

「どうって、何が」

櫻井が無理に笑いとばそうとしているのがわかる。その様子に櫻井も気付いているのだと感じとった。

「おおちゃんのことだよ。

松兄に聞いたんだよ。おおちゃん最近変わった様子はなかったかって。そしたらスタッフルームで寝ながら泣いてたって」

「そんなの…夢でも見てたんじゃない？」

「ニノが来てから少し経ったごろからかな。おおちゃん、よくぼーっとしてたんだよ。いつものぼんやりしてる感じじゃなくて、なんていうか…夢から覚めてないみたいな。

それに、いっつも笑ってじゃれてんのに、ニノが帰るとき、すごく心配そうな顔でずっと見てた」

『今日も明日も、もうきっと、帰ってこないんで』

あんな弱弱しい、諦めたみたいな笑い方、初めて見た。

そしてその傍らにいた大野の瞳は、強く輝いていた。

あの目を、前にも見たことがある。

涙を閉じ込めたような、切なくて鋭い眼光。

それはどこか危うくて…

まるで自分の身を投げ捨てて何かを守ろうとするような―――

「…何が言いたいの？」

抑揚のない櫻井の声は掠れていた。