第二百十八話【光に導く貴方は】 ページ31
「何処......此処......」
誰かの声が聞こえたようで私は目を覚ました。目を覚ました時、何故か胸がチクリと痛んだような気がした。
「何も見えない」
目の前に広がる空間に目を向ければ、私の他には何もない真っ暗な空間だった。だが、本能的に此処にはずっといてはいけないことだけは分かっていた。
「帰らなきゃ。でも、何処に?」
一体何処へ進めば良いのかさえ分からない。適当に進んでもしも戻れなかったら......?矢張り、ずっと此処にいるしかないのか?
「帰りたいのか?」
知らない誰かの声が聞こえ、私は振り向いた。暗闇の中、ぼんやりと誰かがいる。
「うん。だって、帰る場所がある筈だから」
「......なら、こっちだ」
何者かは振り向き真っ直ぐ歩き出した。
「案内してくれるの?」
私は謎の人物に促されるままに付いて行った。
「貴方は誰?」
声のトーンからして恐らく若い男だろう。私は彼のことを知っているのだろうか?私は歩きながら目の前を歩く彼にその正体を聞くが相手は答えてくれない。ただ真っ直ぐ目的の場所まで歩いていくだけだった。
「さぁ、帰り道は向こうだ」
謎の人物が指差した方向には小さな光が差し込んでいた。今にも消えそうな小さな光が私達を照らしている。
「ありがとう。貴方も此処から行かないの?」
私も帰れるのなら、貴方も帰れる筈だ。一緒に出ることを誘うが、黒い影は首を振った。
「どうして?一緒に行こうよ」
私は影の人物に聞き返す。
「此処を出ても身体がない。体を持たなければ出ることはできないんだ。だが、お前は此処から出れる。もう此処には来るな」
「......分かった。それでも、私は貴方のことは忘れないから」
光の先へ手を伸ばした時、辺り一体を強い光が照らした。そして、その場で振り返った時私は見た。
赤毛の髪色をした彼が小さく笑っていたことを......
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時