第二百九話【救出作戦へ】 ページ22
「【黒】を何とかすれば秋田さんは助けられると......僕達はどうすればいいんですか?」
谷崎は管理人に訊いた。
「まず【黒】の力を消耗させ、その後秋田 Aから【黒】を引き剥がせ。そうすれば全て丸く収まる」
「だけど、異能力と使用者を引き剥がすことなんてできる筈が......あっ!」
敦が何か思い出したように声を上げた。
「前例はあっただろ?ある霧が異能力と使用者を分離させた事例が」
「確かに......それならできるかもしれないですけど.....その人はもう......」
敦はある日の事件のことを思い出した。ある霧の作用で自らの異能力が分離したことを......。
「あぁ......死んだな。とっくの昔に。亡霊すらな。だが、此処には異能力に攻撃を与える力はある筈だ。異能力を切る刀。異能力を無効化にする力。そして、異能力を引き裂く力。全てを合わせて【黒】を打破しろ」
「乱歩......この場にいる戦力を持って対抗できると思うか?」
福沢は横で考え込む乱歩に訊いた。
「実際の姿を見てないから分かんないけど、やる価値はあると思う......」
"......あの"
その様子を見ていた『骸骨の舞跳』は小さく口を開いた。
"......一番側にいた私が言うのも悪いと思うけど......私、やっぱりあの子を助けたい。だから、お願い。Aを助けて......"
その声は今にも泣きそうな声だった。それはまるで秋田が昔泣いていた頃のような、その姿が乱歩の脳裏と重なった。
「だってよ社長。真逆依頼人が異能力なんて多分こんな機会次はないよ」
「......フッ。あぁそうだな。我々はこの依頼を受けよう。皆、異論はあるか?」
福沢の言葉に皆んなは顔を見合わせた。
「僕はAさんを助けたい。例え僕一人でもそれは変わりませんから」
「私も同じ。助けられるのなら助けたい」
「全く黙って死ぬなんて、まだお説教もしてないじゃないか」
「僕もナオミもできることがあれば協力します」
「勿論僕も異論はありません」
「秋田がまだ手を付けていない書類の提出期限がもうすぐだ。もし帰ってきたらやって貰わないとな」
「彼女はまだこの探偵社に必要だ。私もその為なら、出し惜しみなどしない」
敦、鏡花、与謝野、谷崎、賢治、国木田、太宰はそれぞれの言葉を上げた。
「では決まりだな。明日の夜明け前......奴は動き出す。探偵社の諸君どうかよろしく頼む」
この言葉に探偵社の皆んなは一斉に頷いた。
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時