第二百八話【引き継がれる呪い】 ページ21
「それでどうしてAがヨコハマを滅ぼす存在になるんだい?妾達はそれを止めることもできるんだろうねェ?」
与謝野はまだ疑心の目を向けながら管理人に聞いた。
「君らがやるというのなら崩壊を止めることは出来るだろう。だが、一つ訂正しよう。秋田 Aがヨコハマを滅ぼすと言ったが具体的には秋田 Aの異能の一つ、『幻影と夜曲』が関係している」
「『幻影と夜曲』が?」
「秋田 Aが名付けた異能生命体【黒】。これが随分と厄介な存在だ。本来『幻影と夜曲』は秋田の養父が独立して生み出した能力ではない。秋田の養父のその前の代、更にずっと前から生み出された能力を引き継いでいるだけに過ぎないのだ」
「質問ですが、異能力ってそんなに引き継げるものなんですか?」
賢治が手を挙げて訊いた。
「引き継げるの問題ではない。引き継がなくてはいけないのだ」
「それはどうして......?」
「秋田の養父の家系が暗殺者であるが故に人の恨み、嘆き、怒りは濃い。その怨恨がいつか形を成し、後に【黒】という異能生命体を産み出した。【黒】は力を授ける代わりに最期にはその使用者を乗っ取り、今まで押さえ込んでいた怨恨をこの世に溢れさせる復讐者になる。だから、そうなる前に考えた。『幻影と夜曲』は必ず次に継がせなければならないと......」
「えっ......【黒】ってそんなに危険な奴だったんですか!?」
まさかそんな危険な異能力だったとは思っておらず、敦は酷く驚いた。
「異能力と私達人間が対等な存在だと思わないことだ。そして、もし『幻影と夜曲』を引き継がせる前任が死ぬ前に次の者に引き継がらせれば、次の者がその業を抑える役目を得る......そうすれば一時的には安全だろう。だがその制約を護らなければ、手綱を握る主がいなくなった瞬間、暴走する愚かな獣のようにこの世を暴れ回る」
「異能特務課はその事実を周知しているのか?」
こんな歩く厄災を放置する程、特務課は職務怠慢のような職場ではない。それは国木田も考える。だが、今までもこのような話に一切触れて来なかったということは......
「知る筈がないさ。秋田の養父の一族はひたすらにそれを隠し続けてきたからな。全く面倒な者達だ。結局、もし現実にそうなろうとしても、結局その時点でその者達はもう生きてはいないのだからな」
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時