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第二百十五話【つながる過去】 ページ28

「色んな情報屋を回って暗殺者の方は手間は掛かったが足取りは掴んだ。昔、ある組織にいたことを利用して暗殺者のことを妬む男に金を払ってその男を殺 させた。まぁ、その男も暗殺者の相打ちにあったようだがな」


篝は淡々と言葉を続ける。


「だが、例の人工的に造られた異能力者の足は研究所の崩落以来途絶えた。どれだけ、探しても見つから......「死んだよ」」





「......はぁ?」





今、何と言った。


一瞬聞き間違いとも思わせる言葉に篝は驚きを隠せないでいた。篝が未だ理解していないのを見て、乱歩はその言葉を補足するように言った。


「その異能力者は死んだよ。君が殺 したようなものだ」


「殺 しただって?俺はソイツに会ってねぇ」


「いや、会ってる。君が最後に潜伏していた旧軍事工業跡地。その施設で僕達の仲間が捕まえに来ていたじゃないか?長い髪の女性を」


その言葉に篝は目を丸くさせた。そして、顔に手を当て笑い出した。


「アイツ......アイツか?くくっ......クハハハ!その事実を聞いて俺は報われたよ。今回のことをやった価値だけはある」


その様子に乱歩は黙ったまま篝を見ていた。そして、再び溜息をついて口を開く。


「......これは君にとって不本意だろうけど、彼女はまだ生き返る余地があるらしい。だが、それには君の力が必要だと。どうする?このまま国家反逆罪として生を終えるか......罪を減刑する機会を得るか......どちらを選ぶ?」


「なら、俺は喜んで死を選ぶとしたら?」


そうだ。自分の父を殺 した暗殺者も、父が死ぬ原因になった異能力者も葬れたのなら、もう篝にとってこの世にもう一切の未練もなかった。


「分かった。じゃあ、こっちもその希望に応えるようにするよ」


乱歩はそう言って椅子から立ち上がり、篝に背を向けたまま告げる。


「だけど、そのつもりならただじゃ死なせない。この世全ての痛みを与えて、君にその死を与える。何度、死にたいと思っても死ぬことを許されない程に......」


その言葉に篝は絶句する。


「お前、自分で何を言っているのか?そんなこと許され......「これは交渉じゃない。脅しだ。協力しないのであれば、協力させるまで」


篝の言葉に振り返った乱歩の顔は本気だった。


「お前達はイカれてるよ」


篝は目を開き、震えながら答える。


「いや、僕達は怒っているんだ。今すぐ殺 さないことを感謝してほしいくらいだよ」

第二百十六話【もう離さない】→←第二百十四話【全部仕組まれていた話】



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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時

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