第百一話【巻き込みたくない者】 ページ5
「仕方ない、『組合』の給料分は仕事しますか」
帽子を被った方の青年は云った。
私達は「組合」と云う言葉に身構えた。組合とも交戦するのは決まりだ。恐らく、被害がより拡大するかもしれない。なら、まだ正式な探偵社員ではない鏡花をこの戦いに巻き込むわけにはいかない。まずは何とかしてマフィアから鏡花を引き離し、この場から逃がさないと......
「そこ、危ないよ」
考えを巡らせている時に、組合の青年の声にハッとさせられた。青年はマフィアの黒服達が立っている処を指差していた。
「『
その言葉の後、敦は何かに気がついたのか急いで上を見た。
「国木田さん!上から何かが!」
私達が上空を見上げると私達の真上にヘリが飛んでいた。そして何かが光った後、何かが地上に向かって落ちた。
落下した衝撃で突風が吹き荒れ、草木を激しく揺らす。私達はその衝撃に狼狽えた。暫くして衝撃が止んだ頃、私達は青年の云った『荷物』を見た。そこには四人の人物がいた。
一人は銀髪に長髪の本を持った牧師姿の男性
一人は黒髪に薄緑のドレスを身に纏い、日傘を差した女性
一人は白髪に髭を生やした老年の男性
一人は赤茶色の髪に白のワイシャツにサスペンダーが付いたズボンを履く青年だった。
恐らく全員、組合の者に違いない。そして全員が異能力者だとすれば......
四人の眼が怪しく光った。
「いかん!」
マフィアの着物の女性は危機を感じ取ったのか黒服達に「撃て......!」と命じた。
その指示を聞いた黒服達は四人の人物に向かって短機関銃を撃ち放った。辺りに短機関銃の激しい音が響き渡る。
私はそれを好機だと思い、グローブの鉄線銃を公園の柱に向かって撃ち込んだ。そのまま、ワイヤーが巻かれる作用を利用して、マフィアの女性の後ろに居た鏡花を抱えながら、公園の植え込みの裏に隠れた。
私は鏡花に顔を向けると、鏡花は驚いた表情で此方を見ていた。
「手荒な真似をしてごめんね。でも鏡花ちゃん、すぐここから離れなさい。あなたをこの戦いに巻き込みたくないの。いいね」
鏡花は何か言おうとしたが口を閉ざし、首を縦に振った。
「よし、いい子ね」
私はそう言って鏡花の頭を撫でた。
「さぁ、行って」
その言葉に押されるように、鏡花は走り出した。
101人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時