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第九十九話【『夜叉白雪』】 ページ3

ふと、私は作業の手を止めた。


そういえば、鏡花が護身用の電撃針と一緒に、兎のストラップが付いた携帯電話を持っていった事を思い出した。鏡花の異能である『夜叉白雪』は携帯電話にかかってくる声だけに従う異能。つまり、鏡花の携帯電話に着信を繋げば、思うままに『夜叉白雪』を操れる。


それなら、携帯電話を手放せば良いという考えも出てくるが、鏡花は手放す事を拒んでいる。私が父からの形見である短刀を手放せないのと同じ位、鏡花が何時も持ち歩いて来た携帯電話は大切な代物だった。


しかし、このまま何もしなければ、鏡花の携帯は悪用されてしまう。その為、携帯にはもし誰か鏡花の電話に着信をかけても、その信号が探偵社に来るように手配をした。


それにより安心かと思われる所だが、着信があった時という事は、誰かが鏡花の異能『夜叉白雪』を使用したことになる。 鏡花はまだ異能の制御が出来ていない。そんな時に敵から『夜叉白雪』を悪用されたりでもしたら、被害を被るのは私達だ。そして一番の被害は、その時鏡花の側にいた者。


その最悪の状況にならない為にも、鏡花には異能の制御をしてもらわなければいけない。制御できる為にも、手っ取り早い方法があるが......その一存を決めるのは私個人ではなく社長だ。一度、鏡花について社長に相談でもしてみようかと席を立った時......




pppp......




そこへ、聞き慣れない電子音が鳴った。何の音かと考えていると、


「くそっ、『夜叉白雪』が使われたか!」


国木田が勢いよく席を立ち上がった。


私はその様子により、鏡花の携帯へ着信を知らせる電子音だったのだと気がついた。


『夜叉白雪』が使用された事で一番の被害は、鏡花の側にいた者。つまりは敦だ。私の脳裏で最悪の状況が浮かんでいた。いや、今ならきっと間に合う筈だ。私は嫌な考えを振り払うように頭を振った。兎に角、二人が危ない目に遭っている事には間違いなかった。早く助けにいかなければ......!


国木田は周りを見渡し、「秋田、賢治行くぞ!」と叫んだ。


「はい!/わかりました!」


その声と共に、私達はすぐさま敦と鏡花の元へ向かった。

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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時

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