露草のかほり 【フリーアートシリーズ】

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瑛大とえっちをするのは初めてではないし、久し振りだからと言ってぎこちない感じが出る訳でもなかった。それはきっと私達がまだ初心者だからだろう。腕が元からないんだから鈍りもしなければ、まともに出来ることもない。




　それにお互いに違う相手と関係を持ったことは一度だってない。お互いに初めての相手で、最初はやり方さえ分からないままだった。




瑛大も私もどっちかと言えば性意識の関心が薄く、えっちのやり方さえ調べたこともなかった。いざしようってなった時に、インターネットを頼りにゆっくりと進めて行ったくらいだ。




　でも、これくらいの関係で丁度良いのかもしれない。




私は瑛大に刺激を求めている訳でもないし、肉体的癒しを求めている訳でもない。ただ理由もなしに心惹かれる存在だから、一緒にいたいだけなのだ。




何処が魅力的だからという理由で惚れている訳でもないのだ。ただ、カップルの一般的な行動をしたいだけ。




　ベランダのガラスの扉から朝色になる。私はぐしゃぐしゃの髪に手を当てながら起き上がって、視線を瑛大に注いだ。すやすやと寝ている瑛大の頭に手を持って行き優しく撫で、




　「時間だぞ」




　とキツめに声を発した。ん、と瑛大は声を上げた。けだるそうに布団の中の両腕をもぞもぞと動かして、ひっついた瞼をこすった。




　おはよう、その声を聞いて私はきょとんとした。だけど、すぐに頭をもう一度撫でて強引に額にキスをした。



　「可愛い」

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