14 ページ14
雨で冷たくなった左肩を撫で、冷たかったな、と声をかける。瑛大は、あー、と声を漏らして、まだ早いけどシャワーでも浴びたら？ と提案した。そうだな、と返す。
ぺたんこのサンダルでは足の裏に泥水が入って困った。入った時のあのぐちゃぐちゃ感を思い出すだけで鳥肌が立つ。サンダルを脱ぎ散らかし、爪先立ちをしながらアパートの中に入って行く。
「食料品、キッチンまで運んどいて。冷蔵庫入れとくから」
「ああ、俺入れとこうか？ もうゆっくり休みたいんじゃない？」
「瑛大にばっかり手伝わせるとか嫌なんだよ」
襖の向こうには、ハンガーにかけられた洋服が窓を埋め尽くすように並べられていた。まだ一部しか乾いていないらしく濡れていた。
私は扇風機を強引に引っ張って洋服に風を送り始めた。あまりに長い間乾かすと生臭くなってしまう。特に雨みたいな湿気が多い日は。
「別にいいよ？ 百合華は毎日忙しいんだし、今日だけはさ」
「――分かったよ。今日だけな」
怒り気味に声を張り上げてそう言った。背の低いタンスに合わせてお尻を降ろし、自分の寝間着を探し始める。
「でも、明日からは私がちゃんとやるから」
「いえっさー！」
真っ青な上に黒の蝶がでかでかと描かれたＴシャツを目の前で広げ、てかてかと光沢のある黒色のジャージを選ぶ。瑛大が帰ってきているうちは寝間着にも気を使ってしまう。
ただ、“少しでもマシなもの”のラインでだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - クレセントミントさん» 読んでいただいて嬉しいです。コメントもありがとうございます(*￣∇￣)ノ 残念ながら私は人間です。ハッピーエンドに極力したいんですけど、これは苦戦しました笑 病系って難しくて。 (2016年2月27日 21時) (
レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
クレセントミント(プロフ) - Σ(･ω･ﾉ)ﾉ すげーーーーー！！ 表現とかメッチャ綺麗！ストーリーもうるってきた！何なんですかあなたは人間なんですか！？(褒め言葉) きれいなハッピーエンドで、心があったかくなりました！ (2016年2月27日 20時) (レス) id: 5816e31ce1 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - ⊃ Hana.＊＊⊂さん» 読了、お疲れ様でした。ありがとうございます(*^O^*) レイチェルファン大歓迎です。 (2015年9月27日 19時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
⊃ Hana.＊＊⊂ - ナンシー・ハジェンズさん» とても面白かったですっ !! この作品で、ナンシーさんのファンになっちゃいました(´∀`＊) 応援してますっ ! (2015年9月27日 16時) (レス) id: 052f0204db (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 煩衣さん» ありがとうございます(*´∇｀*) 普段はパソコンで書いてるのですが、見る端末によって改行は異なるのかなと思って入るのですが……。4行、今のところ空けていますが、占ツクではこの数はどうなんだろう？ (2014年7月24日 12時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月19日 18時
