番外編 鮮血湯煙事件4 ページ35
この露天風呂で、尚且つ私の背後に降って来る……、転落してくる?事ができる場所と言えば岩の上くらいだ。恐らく逢河さんは岩の上で眠っていたのだろう。………痛くないのだろうか岩の上なんて。
「………あ、浮いて来た。」
一旦沈み、程なくして浮いて来た逢河さんには目立ったアクションが見られない。まだ眠っているのだろうか。
そう思った私の背後を、入出さんを追いかける更屋敷さんが通過して行った。
「………混沌ここに極まれり、とはこの事ですね。」
かつて男湯であった現在の女湯は、逃げ惑う男性陣を追いかけ回す修羅と化した更屋敷さん、それを爆笑しながら傍観している路々森さんと湯船に浮きつつ眠る逢河さん、スケ〇ヨ状態の駆堂さんにどうしたらいいか分からず棒立ちしたままの私という非常にカオスな事になっている。
…………というかこれ、逢河さんは放っておいて良いのだろうか。いや明らかに良くは無いんだろうけれど、私には身長、体格共にかなり差のある彼を抱えて運ぶ程の腕力は無い。沈められた駆堂さん以外の男性陣は現在進行形で更屋敷さんと命懸けの鬼ごっこをしていて救援要請は不可能だろうし………。
「………はぁ。」
うっかり呼びタメしてしまった気まずさが地味に尾を引いている身としては、まだ話しかける勇気は無かったのだけど。ここに放置したら更屋敷さんの餌食になりかねない。
「逢河さん。逃げた方が良いですよー……。」
一体どういうテンションで話しかければ良いのやら。もうどうしたらいいか分からないけれど一応起こす事を試みる。
「んごごごごご。」
「起きない………。どうしよう……。」
「ん?マキマキじゃないか。居たんだにゃ。」
気が付いた路々森さんが近寄って来た。そして湯船に浮きつつすやすや眠る逢河さんを見て1言。
「……水死体ごっこかにゃ?」
「何ですかその遊び………。こう、突然降って来たと言いますか……多分岩によじ登って寝てらしたんじゃないかなぁと。」
「何故そこにガッツを燃やしたんだマキマキ……。岩って………。」
割と愉快犯なところのある路々森さんが突っ込みに回る程の事態らしい。
「取り敢えず、寝るんならお風呂からは上がった方がいいと思うぜ。」
「私もそう思って声はかけてるんですけど無反応で………。」
「そうだな……くーろんはこのまま頑張ってマキマキを起こして避難させてくれたまえ。ボクはアン坊を起こそう。」
路々森さんがそう言った。
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ユキヨル(プロフ) - 新埜さん» ご指摘ありがとうございます!!非公開になってるのに気がつきませんでした……公開にしておきます!! (2019年8月26日 18時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
新埜(プロフ) - ユキヨルさんのお話、文才が凄くて面白いです!!あとすいません、おそらくですが、鮮血湯煙事件のとこ、1話目が非公開になっていると思いますよ!! (2019年8月26日 17時) (レス) id: a85fd0d46b (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます(*´ω`*)体調気を付けますね! (2019年8月24日 18時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 更新頑張りながら体調にも気をつけてきださいね! (2019年8月20日 10時) (レス) id: eadb533606 (このIDを非表示/違反報告)
ユキヨル(プロフ) - Sayakaさん» なるべく毎日更新出切るように頑張りますo(・ω・o) (2019年8月20日 10時) (レス) id: b49c625d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキヨル | 作成日時:2019年8月19日 14時