藍よりも深く【夕闇に誘いし漆黒の天使達】

煙。10 ページ41

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ともやside

『ともやのことばっかり、考えちゃう』


それって、今も好きってことちゃうんか？？？

ともや「それって、」

『好きかは分からん』

ともや「は？？」

聞き返しても、Aはそれ以上何も言わなかった。


なんそれ。


本当に女が考えてることはわからん…

ていうか、Aがわからん…


俺もAが分からないように、Aだって、俺がわからないんだろうけど。



話し合って、わかってく、
ってもう遅いか。



悶々と一人で考えていると、Aが言った最寄り駅までついた。


『ありがとう』

ちっちゃく早口で言うと、すぐに外に出てしまってもはや走り出しそうなその手を掴んだ。

ともや「A」

『なに…？』

ともや「……ブロック、やめて」

『え？』

ともや「ラインの、ブロック、」

『え、なん…』

ともや「いいから！ほら、もう電車来る」

自分で引き止めたのに、女々しいこと言ってるのに気づいて、耳のあたりが熱くなるのがわかる。

肩をトントンと押して、Aを下ろすと、窓を開けて

ともや「気をつけて帰れよ。また連絡するわ」


返事を聞かずに車を出した。




あー……
ちょっと後悔してる。
もっと、上手くやればよかった。
なにが上手く、か見当もつかないけど。



家について、もう何ヶ月も開いていないAのトークルームを開く。
トークは俺の一方的なラインでいっぱいだった。

元気？
今暇？
最近どう？

当たり障りないメッセージ。
既読はついてない。



ともや今日は連れ回してごめん。


それだけ打つと、ベットにスマホを投げて、シャワーを浴びに行く。



戻ってきて、なんとなくラインを開くと
さっき送ったメッセージに既読がついていた。

返事はない。



それなのに、それだけで
口角が上がってしまってるのが自分でも気持ち悪いなって思うけど

嬉しくて。


たくさん分からないことがあるけど
ひとつだけ確かなのは

今も昔も
俺はAが好きだ。




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