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ユリカナに出かけてから2週間。
私はオビさんを…避けてしまっている。
やはり意識し始めているせいか、それを認めたくないのかオビさんと2人きりになるのは今の私には無理だった。
昔から外を見たかったり嫌なことがあったりするとよく行っていたお城の上の階の端っこにあるちょっとした小部屋。
使う頻度もあまりないので人が来ない事が多い。
窓から見る景色もいいし私のお気に入りの場所。
ちょうど窓から外を見ているとメイドさんが洗濯物を干していた。
風が強く吹いて洗濯物が飛んで行ってしまった。
そしてそこにオビさんが来た。
飛んで行った洗濯物を拾ってあげていた。
メイドさんがお礼を言っているのか、何度もお辞儀をしていた。
その後何やら雑談をしているのかオビさんとメイドさんが楽しそうに笑っている。
…オビさんがメイドさんと仲良くしているのを見て少しうらやましいな、なんて思った。
自分から避けているくせにね…と思いながら私はその部屋から出た。
自室に戻ろうと城内を歩いていると前からゼンが来て声をかけられた。
ゼ「よっ、A。何してるんだ?」
『ゼン…あれ、1人なの?』
ゼ「あぁ、今ちょっと疲れたから逃げ…いや休憩しようと思って出てきたからな。…どうした?なんか元気ないか?」
『…ねぇゼン。白雪が他の男の人と仲良くしてたら嫉妬する?』
ゼ「しっ…?!なんでAまでそんな事聞くんだ…。」
『?するの?しないの?』
誰かにも聞かれたのか、ゼンはそう言いながらも答えた。
ゼ「まぁ時と場合による…。」
時と場合による、か。
『そっか、ありがとうゼン。』
ゼ「?あ、あぁ…。」
___やっぱりそうだよね。
私はゼンに別れを告げ、白雪がいるであろう薬室に向かう事にした。
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作者名:ソラ | 作成日時:2020年3月30日 16時