大空493 ページ34
Noside
「「ダメだ/ダメです！」」
「何故だ？主、カエデ」
「お前達が刃を振るう場所は此処じゃない。」
「はい、なので和泉守、山姥切。彼を縛り付けるのは辞めなさい。」
ヨミがそういうと和泉守兼定と山姥切国広はしぶしぶ縛りを解いた。
彼ら刀剣男士は主の命令は絶対だが警戒を怠らない。
熊の亜人は治療の為に部屋を出て行った。
「で？あんたたちは俺等をどうしたいんだ？
俺は大樹の下へ行きたいだけで、邪魔しなければ敵対することもないんだが……亜人族としての意思を統一してくれないと、いざって時、何処までやっていいかわからないのは不味いだろう？
あんたたち的に。
殺し合いの最中、敵味方の区別に配慮する程、俺らはお人好しじゃないぞ」
ハジメの言葉に、身を強ばらせる長老衆。
言外に、亜人族全体との戦争も辞さないという意志が込められていることに気がついたのだろう。
「こちらの仲間を再起不能にしておいて、第一声がそれか……それで友好的になれるとでも？」
グゼが苦虫を噛み潰したような表情で呻くように呟いた。
「は？何を言っていやがる！！先に殺意を向けてきたのは、あの熊野郎だ！！主と奥方に拳を向ける事は俺達にとっては万死に値するんだぜ！！
俺達は返り討ちにしただけ！！
再起不能になったのは自業自得ってやつだ！！」
「き、貴様ら！！ジンはな！ジンは、いつも国のことを思って！」
「それが、初対面の相手を問答無用に殺していい理由になるとでも？」
「そ、それは！しかし！」
「おい。勘違いするなぁ。
俺たちが被害者で、あの熊野郎が加害者だぁ。
長老ってのは罪科の判断も下すんだろ？
なら、そこのところ、長老のあんたがはき違えるな。相手がお前らの嫌う人間だろうがそこら辺にくだらない種族差別入れるなぁ」
おそらくグゼはジンと仲が良かったのではないだろうか。
その為、頭では和泉守、スクアーロの言う通りだと分かっていても心が納得しないのだろう。
だが、そんな心情を汲み取ってやるほど3人はお人好しではない。
「グゼ、気持ちはわかるが、そのくらいにしておけ。彼の言い分は正論だ」
アルフレリックの諌めの言葉に、立ち上がりかけたグゼは表情を歪めてドスンッと音を立てながら座り込んだ。
「確かに、この少年たちは紋章の1つを所持しているしその実力も大迷宮を突破したと言うだけのことはあるね。
僕は、彼を口伝の資格者と認めるよ」
そう言ったのは狐人族の長老ルアだ。
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