虹空422 ページ50
［Noside］
厨に行きしばらく料理をしていたヨミだったが手を止め土鍋を取り出した。
「主様、どうしたんですか？」
「いえ……もしかしたらカエデさんが行方不明の刀剣男士を見つけてくるかもしれないと思いまして。その方達にとって食事は初めてなのでお粥にしようかと」
「行方不明の……それって、乱達か!?」
薬研が包丁を持ちながら勢いよく振り返る。ヨミは優しく注意をしながら否定も肯定もしなかった。
「そうかもしれませんがここの審神者がいつ戻って来るかも分かりませんし…不安な要素はたくさんありますからね。
彼らが元気な姿を見せてくれるかどうか…怪しい所です。私としては審神者が私の目の前に来たら……フフ」
「主、その最後の含み笑いはなんだ」
「なんでもありませんよー大倶利伽羅」
「……主、俺も前任が来たらやりたい事がある」
「あら、伽羅ちゃんそれは何ですか？」
「……秘密だ」
「ここの俺も笑みを浮かべるな、堕ちるような事を考えていたら戦場連れ回すぞ」
そんな会話をしながらもヨミ達は料理をする手を止めなかった。
ちなみにメニューは麹味噌を使った油揚げたっぷりの味噌汁、新玉ねぎの肉詰め、桜海老の炊き込みご飯、チンゲン菜とあさりの炒め煮となっている。
「うーん…よし！今日は贅沢させましょう！」
「贅沢…ですか？主」
「そうですよ、平野さん。お酒が好きな刀剣がいますし飲めなかったと思うので今日はお昼からお酒を飲ませます。手伝ってください！」
「はい、お任せ下さい！」
ヨミと平野は2人で協力して冷蔵庫や蔵から日本酒、焼酎、ワイン、ウィスキー等など…様々なお酒を大広間の机へと運んで行った。
「そろそろ昼時ですかね…短刀の皆さんは固まって部屋にこもってる皆さんを呼んできて下さい。行かないと言った方には御神酒があるとお伝えください。
大倶利伽羅はカエデさんの様子を。ここの加州さんに聞けば居場所はわかります」
「分かった、主はここの俺と居てくれ」
「任せてくれ、大将！」
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