大空421 ページ49
ＮＯside
カエデ達はゴールの見えない地下道を進む。
暗く、道として形を成しているそこは、誰かが使っていたとしか言いようがない。
「だんだん暗くなっている…進むのは難しそうだ……」
先頭を歩く骨喰が歩を止める。
「夜目が効いても、限界があるからね…」
「だが、ここに何かあるのは間違いないな」
引き返す素振りを見せないカエデに鯰尾が尋ねる。
「…どうするんだ？」
『*「こうするしかない」
カエデは、先で怪我をしたばかりの右手ではなく、包帯の巻かれた左手で軽く拳を作る。
そして、ゆっくり開くと、掌からぼんやりと周囲を照らす赤い炎のようなものが出現した。
当然、3振はその炎に驚く。
「何だそれは！？」
「死ぬ…霊力だ」
カエデは、左手を前に掲げ、先の道を照らす。
「霊力…？」
「これはただ単に掌から霊力を少しずつ放出しているだけのものだ」
「霊力の放出…」
そこで、鯰尾がハッと気づく。
「あんた……………………死ぬ気か！？
霊力の放出なんて…そんなの、人間のあんたにとって自 殺行為だ！！」
鯰尾は叫ぶように、訴えるように投げかける。
それを聞いた骨喰と小夜は、カエデを見やる。
「心配するな。この程度、痛くも痒くも無い」
そう言って、カエデは先頭を行く。
「俺が先頭を行く。この感じからして、もうすぐゴールだろうな」
そして、しばらく歩いた時。
「ここがゴールのようだな」
カエデが左手を高く掲げる。
目の前に現れたのは、地下道には不釣り合いの檻。
そして、檻には無数の紙切れが貼られている。
「檻…？」
「この紙…手入れ部屋に貼ってあった札と同じ……！！」
「なんなんだこの檻は？」
3振がまじまじと檻を眺める。
「奥に何かいる」
3振「「「っ！」」」
カエデは『静かに』と言い、檻の奥をぼんやりと照らした。
「な……………」
カエデと、3振は言葉を失う。
なぜなら、光で照らされたその場所には、寄り添うように＿＿＿＿＿＿
＿＿衰弱しきった"彼ら"の姿があったからだ…
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